皆さんは「モラル・ライセンシング」という言葉をご存知ですか?
モラル・ライセンシングとは、「正しいことをした後は悪いことをしても良い」と無意識のうちに思ってしまうことで、誘惑に弱くなってしまうことを言います。
このモラル・ライセンシングを理解しているかどうかで、私たちの生活は大きく変わってきます。無駄遣いは少なくなりますし、衝動買いや間食などの悪い習慣もなくなり、ダイエットの成功率や仕事の効率まで上昇するでしょう。
今回は、知らなければ本当に怖いモラル・ライセンシングについてです。
モラル・ライセンシングの具体例
「正しいことをした後は悪いことをしても良い」と考えてしまうモラル・ライセンシングの具体例を挙げてみると、
・今日は沢山勉強したから、夜更かしして遊んでもいい
・今日はジムに行って運動をしたから、少しくらい甘いものを食べてもよい
・今日は友人に親切にしたから、ダイエット中だけど夕食を豪華にしてもよい
・さっき欲しかった時計を我慢したから、安い服くらい買ってもいい
・家族のために今まで頑張って働いてきたのだから、浮気の一つくらい大丈夫
・今日は家族サービスを頑張ったから、普段よりも沢山お酒を飲んでもいい
・今日は仕事を頑張ったから、夜はだらだらと過ごしても良いだろう
など例を挙げればきりがありません。
このように人は「正しい」という理由で何かをしてしまうと、結果的に誘惑に弱くなってしまうのです。
そしてこのモラル・ライセンシングの怖いところは、意識せずに正しいことをした場合も誘惑に弱くなってしまう点です。
意識せずに正しいことをした場合も誘惑に弱くなってしまう
テレビのニュース番組では、悲惨なニュースや悲しい事件のニュースが流れています。そして、テレビのCMでは一般消費材の広告が流れています。
このテレビの広告にモラル・ライセンシングの怖い点が表れています。
どういうことかと言うと、
悲惨なニュースで心を痛めるという「正しいこと」をする
→ちょっと羽目を外したい気持ちになる
→気晴らしに消費をしたくなる
→CMで広告されている商品を本当に必要ないのにも関わらず、買ってしまう
というお金の消費の流れができてしまうのです。
テレビが悲惨なニュースを流し、その間に一般消費財の広告を流しているのは、モラル・ライセンシングの影響によって、商品が売れるからなのです。
また、ネガティブな情報はポジティブな情報よりもメンタルに与える影響が大きく、ネガティブなニュースに触れるだけでも、ストレス解消として消費行動に走ってしまうことも、理由の一つです。(1)
モラル・ライセンシングに影響されないために
これまでに見てきたように、モラル・ライセンシングは特に私たちの消費行動に関係しています。つまり、モラル・ライセンシングを防ぐことができれば、私たちは数多くの無駄な消費を抑えることができるのです。
では、モラル・ライセンシングはどのようにして防げばよいのでしょうか?
答えは単純で「常にモラル・ライセンシングを意識して、正しいという理由で行動しないようにする」ことをすればよいです。
「正しいから」という理由で行動するのではなく、「好きだから」という理由で行動できることを探して実際に行動することができれば、モラル・ライセンシングは働きません。
また、「悲惨なニュースを見て心を痛める」「映画で感動して涙を流す」などの道徳的に正しいとされる行動をとった後は、自分が誘惑に弱くなっていることを意識して、無駄な消費をしないようにしましょう。
皆さんもぜひモラル・ライセンシングを意識して日々の生活を送ってください。