「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがある人は必ずいると思います。
今回は近年注目が集まっている「マインドフルネス」についての話です。
目次
マインドフルネスとは?:意味について
マインドフルネスを一言で表すのならば「自分の感情や身体状況を客観的に把握すること」です。
・いま私はどんな感情を持っているんだろう?
・私の体や今の状況はどうなっているんだろう?
そんなことを改めて把握することが、マインドフルネスが目指す道なのです。
つまり、精神を落ち着かせて、冷静に「自己観察」をすること。これがマインドフルネスの本質と言えます。
マインドフルネスとは?:驚きの効果について
このマインドフルネスは心理療法の分野で使われたりと、かなりのメンタル改善効果があると言われています。
(マインドフルネスの実践方法はこちらをご覧ください)
その証拠に、信頼性の高いメタ分析では、マインドフルネスを実践すると、
不安から解き放たれ、実際にうつや不安症の症状まで改善されることがわかっています(1)
また、マインドフルネスを実践することによって健康になるともいわれています。
その一例として、マインドフルネスの実践によって体の免疫機能が向上することも報告されています。(2)
マインドフルネスとは?:起源について
マインドフルネスは、1970年代にマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジン氏が考案したものです。
従来の心理療法に、曹洞宗で行われている座禅の要素をとりこんで、
仏教でいうところの「念」の概念を「マインドフルネス」と訳したのです。
つまり、マインドフルネスの根幹を形成しているものは、仏教なのです。
ですので、マインドフルネスを理解するためには、仏教の教えについてまず知らなければなりません。
マインドフルネスとは?:仏教の教えとの関係
マインドフルネスを理解するために、仏教について少し話しておきます。
現在の仏教は様々な宗派に分かれているので、まずは原始仏教について考えてみましょう。
紀元前5世紀にインドで生まれたゴータマ・ブッダは、
悟りを開いたあとに人々に「独自の死に対する考え」を伝えました。
それは「全ての欲望はフィクションだと気づきなさい」というものです。
人々は様々な欲望を持っています。
素敵な異性と結ばれたい、お金を手に入れたい、美味しいものを食べたい、など様々な欲望が現代には溢れています。
しかし、ブッダはそれらの欲望全てを「フィクション」だと言い切ったのです。
その理由は、人間の欲望はその時々によって異なるからです。
例えば暑い時は冷たい飲み物が欲しくなり、寒い時は逆に暖かい飲み物が欲しくなります。
お金がない時はお金が欲しくなり、ある程度お金を手に入れたあとは、人生の充実を求めるようになります。
つまり
私たちの欲望はすべて外部からの刺激によって生まれるもので、人間の内側に普遍に存在している欲望などない
とブッダは説いたのです。これが仏教での「無常観」でもあります。
さらにブッダは「自我の意識さえ存在しない」という事実に気づきなさいとも解きました。
私たちは次の世代に遺伝子を残すという目的を果たすための、一つの大きな自然界の流れの中に漂っているだけで、
そのような大きな多きな自然界の流れには、自己というものは存在しないと主張したのです。
欲望や自我は単なるフィクションであり存在しないことに気がづくと、私たちは不安を抱えることがなくなります。
自分という意識が存在しないため、不安が存在する余地がないからです。
そして、ブッダはそのような事実に気づくために瞑想をすることを推奨したのです。
瞑想をして「自己観察」を行うことで、自分の感情や思考を把握する。
そうするだけで、自分の感情や思考が刻一刻と変わっていることに気づきます。
最終的には、全てのものは移ろうフィクションにすぎないという確信が得られるのです。
この瞑想による「自己観察」がマインドフルネスの考えと共通していますよね。
瞑想によって「自己観察」を行うことで、自らを客観的に把握する。
それだけで、私たちの「正体がよく分からない不安感」は「はっきりとした理由がわかる不安感」になっていきます。
結果として私たちは不安感に上手く対処できるようになるのです。
これが仏教とマインドフルネスに共通する「自己観察」という考え方です。
マインドフルネスの実践方法は?
マインドフルネスの実践方法には様々なものがありますが、私がオススメする方法は瞑想とライティングです。
瞑想
瞑想はマインドフルネスの基本だとされている方法です。
瞑想について詳しくは以下の記事を見てください。
ライティング
ライティングをすることによって、メンタルの安定や自己把握ができることが証明されています。
ライティングについては以下の記事を見てください。
その他
その他のマインドフルネスの実践方法として、「慈悲のプラクティス」と「マインドフルイーティング」を紹介します。
慈悲のプラクティス
特定のフレーズをつぶやく方法です。
Googleで実践されていたりと、かなりの科学的証明がなされている方法です。
マインドフルイーティング
食べながらマインドフルネスを実践する方法です。
毎回の食事で意識をすればいいだけなので、簡単にマインドフルネスが実践できます。
マインドフルネスについてのまとめ
・「自己観察」がマインドフルネスの本質(詳しくはこちら)
・マインドフルネスにはメンタル改善効果や免疫力アップ効果がある(詳しくはこちら)
・マインドフルネスのおすすめの実践方法は「瞑想」と「ライティング」(詳しくはこちら)
・マインドフルネスと仏教は価値観が同じ(詳しくはこちら)
これが今回の記事のまとめです。
ぜひ皆さんもマインドフルネスを実践してみてくださいね。
ではでは、しゅゆでした。
この記事が少しでも多くの方の役に立てることを願っています。
参考
(1)Madhav Goyal,(2014)Meditation Programs for Psychological Stress and Well-beingA Systematic Review and Meta-analysis
(2)Mindfulness meditation and the immune system: a systematic review of randomized controlled trials.