こんにちは、しゅゆです。
今回は「有意義なよいお手本となる人物を見つけると、成長思考が身につく」という話をします。
前回の記事では「勇気ある正しい行動をとるためにすべきこと」を紹介しました。「子供に自らの行動が他者にどのような影響を与えるのかを説明し、道徳的に正しいと判断する行動をとると、人格が磨かれると教える」ことの重要性を「妥当性の論理」という科学的根拠を踏まえて紹介しました。
実際にそのように教育することによって、子供たちは自らの創造性を道徳的な行動や正しいと評価できる行動で表すことが分かっています。
しかし、多くの人々は大人になると、特に大学生になると、成長することをやめて現状維持を目指してしまします。自らの内側に創造性があったとしても、その創造性を発揮することなく一般常識や社会のルールというものに縛られて、成長することをやめてしまうのです。
今回は成長思考を身につけて、自らの独創性を発揮するためには良いお手本となる人物を見つけるとよい、という話です。どうすれば良いお手本を見つけることができるのか、についても話していきます。
お手本をみつけることの重要性
多くの人々は大人になると成長することをやめてしまします。しかし、手本となる人物を見つけるだけで人々は成長する気になることが分かっています。
その例として「ORIGINALS 誰もが人と違うことができる時代」でアダム・グラントが挙げていた実験を紹介します。
心理学者ベネロべ・ロックウッドとジバ・クンダは大学生を被験者とした実験で、これから10年のうちにどんなことを達成したいかをあげてもらったところ、何の変哲もない平凡な目標ばかりだったそうだ。
そこでもう一つの大学生のグループには、ずば抜けた大学生について書かれた新聞の記事を読んでもらい、その後で目標をあげるように指示すると、より高い目標をもつように変化した。手本を見せられることで、望みが高くなったのである。
この実験から、手本となる人物を見つけるだけで、目標ができて成長しようとすることがわかります。
また、アダム・グラントは手本となる人物が子供に大きな影響を与える例として、次のような実験も紹介しています。
ある実験では、30代のラドグリフ女子大学卒業生数百人を対象に、自分の人生に最も影響を与えた人物をあげてもらったところ、大部分が「親や先生」と答えた。
それから17年後、心理学者のビル・ピーターソンとアビゲイル・スチュアートは、次の世代を築くために彼女たちがどのくらい貢献しているのかを調べた。その結果、有意義な変化を起こそうと考える女性のなかで、もっとも影響をおよぼした人物に親をあげた人は、1パーセントにも満たなかった。
オリジナリティが豊かな女性は、15年以上も前に親からではなく、教育者から影響を受けたいた女性たちだった。ー影響をおよぼした人物に教育者をあげた人は、世界をよくしようと願う女性の14パーセントを占めていた。
このように、教育者など手本となる人物をみつけることができた人は、有意義な変化を起こそうと努力と成長を続けようとすることがわかっています。
では、子供が手本となる人物をみつけるためには、私たちはどのようにすればよいのでしょうか?
アダム・グラントが提示する答えの一つは「親が子供への影響力を控えめにとどめておくこと」です。
子供への影響力を控えめにすることで、子供は手本となる人物を見つけることができる
親が子供への影響力を控えめにとどめておくことによって、子供は自身の力でお手本となる人物をみつけることができるようになります。
子供のために親ができることは、「子供の独創性をはぐくみ、さまざまな分野におけるお手本となる人物を紹介すること」です。
子供一人一人に合う指導者はなかなか簡単に見つけることはできないので、親はさまざまな人物を子供に紹介することしかできないのです。
そして手本となる人物は現実の人物である必要はありません。歴史上の人物や架空の人物でよいのです。
実際に人権活動家であるマララ・ユスフザイは、ノーベル平和賞を受賞しています。彼女はキング牧師の伝記を読んで、感銘をうけたと答えています。そしてキング牧師はマハトマ・ガンディーに影響を受けています。
そして現在活躍する個性豊かな人々の多くが架空の人物に影響をうけています。
世界最高の起業家イーロン・マスクとペイペルの起業家であるピーター・ティールはともに「指輪物語(ロードオブザリング)」をお気に入り本としてあげています。
また、アリババの創業者のジャック・マーは主人公が自分の運命を自ら変えようとする「アリババと40人の盗賊」をお気に入りの本としてあげています。
このようなオリジナリティあふれる本の主人公を手本にして、イーロン・マスクなどの世界的な成功者は個性を発揮したと考えることもできるはずです。
実際に最近の研究では、J・K・ローリングの「ハリー・ポッター」を読むことで、社会的なマイノリティーに対する子供たちの姿勢が向上するということも分かっています。ハリーやハーマイオニーが純血の魔法使いでないために差別を受ける様子を目の当たりにすることで、子供たちは現実世界にいるマイノリティーにも寛容になるのです。
最近LGBTの方や社会的マイノリティーの方々に対する社会の姿勢が寛容になってきているのは、「ハリー・ポッター」シリーズの一つの功績と言ってもよいのではないでしょうか。
このように、お気に入りの歴史上の人物や架空の物語の人物が子供たちに独創性をあたえ、人生のお手本となる人物をみつけることができるのです。結果として成長思考をもったチャレンジ心あふれる大人になるのです。
皆さんも自分のお気に入りのキャラクターや歴史上の人物、実際に影響を与えてくれた教育者のことをよい手本としてみると、やる気や成長思考を身につけることができるかもしれませんね。
ちなみに私に影響を与えた歴史上の人物は「坂の上の雲」の主人公である秋山好古と秋山真之です。
そして私に影響を与えた架空の人物は数えきれないほどいます(笑)
一例としては「ハリー・ポッター」シリーズ、「デルトラ・クエスト」の主人公リーフ、「天元突破グレンラガン」の主人公シモン、「鋼の錬金術師」の主人公エドワード・エルリック、恩田陸の小説「ネバーランド」の登場人物などですかね。
皆さんに影響を与えた人物は誰でしょうか?一度考えてみてくださいね。
参考
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代