ビジネスではアートが大事だと最近話題になってる…
けど、アートなんて全く分からない。
そもそも、なんでアートが大事なのか分からない。
そんな方のために、『ビジネスではアートや美意識こそが大事だ!』ということを分かりやすく解説していきます。
この記事の結論が知りたい方は、こちらをクリックして下さい。
※この記事を書いている人
しゅゆ底辺医学部クリエイター。医学部生だけどビジネス書が大好き。1日1冊は絶対に本を読んでます。本を読みすぎて、学校では友達がいないらしい。詳しいプロフィールはこちらをクリック。
今回の記事は、以下の2冊の本を参考文献として利用しています。
どちらもビジネスエリートが身に着けるべき教養が詰まっていますので、エリートビジネスマンを目指す方はぜひ手に取ってみて下さい。
ビジネスではアートが大事。その理由とは?
ビジネスではアートが大事だと最近話題になっています。
実際、海外では「MBAよりもMFA(芸術学修士)」だと言われており、企業の幹部の多くはMBAを学ぶビジネススクールよりも、アートを学ぶ美術系大学へと送り出されているとの報告がなされています(1)。
さらに、グローバル企業の多くが社員研修のために「VTS(=Visual Thinking Strategy)」と呼ばれるアートを用いた研修を行ってます。
つまり、グローバル企業や海外企業の多くは既に「ビジネスにおけるアートの重要性」に気づいているわけです。
そこでここからは、ビジネスにおいてアートが重要である理由を2つ紹介します。
1.論理的・理性的なアプローチは限界に来ている
この理由には2つあります。
1つ目は「理性的な経営が、一般に広まりすぎたこと」です。
かつてのビジネスの世界では、分析を通じて数値を追い求める経営が理想とされてきました。
実際、その数値を追い求める方法を知る戦略コンサルティング会社が、圧倒的な権威を誇っていました。
しかしその方法は今や一般化し、多くの人々が理性的な経営の方法を知ってしまいました。
結果、企業の「経営の差別化」がとれなくなってしまったのです。
つまり、数値を追い求める方法が一般化しすぎて、理性的な数値を追う経営では、どの企業とも差別化をすることができなくなってしまったのです。
これが論理的・理性的なアプローチが限界に来ている一つ目の理由です。
二つ目の理由は「世界が複雑になりすぎたこと」です。
世界のエリートたちは、現代社会のことを「VUCA」と呼称します。
VUCAとは「Volatility=不安定」「Uncertanity=不確実」「Complexity=複雑」「Ambiguity=曖昧」という、4つの頭文字の言葉をとったものです。
つまり、VUCAとは「世界は不安定で、不確実で、複雑で、曖昧だ」ということを表している言葉なのです。
世界の現状を見てみても、21世紀になりネットが発達したことで、先行者利益が強力に働く、情報の分散速度が格段に激しい世界になっています。
ネットの普及によって、世界の発展は不安定で不確実なものになってしまったのです。
ここで、これまでの理論的な経営との矛盾が生じてしまいます。
これまでの理論的なアプローチでは、単一の因果関係を基盤において、問題解決を図る方法が主流でした。
しかし世界が複雑になり、問題を構成する要素が増えたことによって、これまでの理論的なアプローチが機能しなくなってしまったのです。
結果、これまでと同じように理論的すぎるアプローチに頼ると、意思決定がいつまでもできない硬直したビジネスをせざるを得なくなるのです。
つまり、理論的なビジネスのやり方が、世界の変化の速度に対応できなくなってしまったのです。
これが論理的・理性的なアプローチが限界に来ている二つ目の理由です。
2.世界中の市場が、「自己実現的消費」へと向かいつつある
自己実現とは、「マズローの欲求五段階説」に登場する、一番上位の欲求のことです。
一言で説明するなら「自分だけにしかできないことをしたい」という欲求のことです。
自己実現について詳しくは以下の記事で解説していますので、ご存知でない方はぜひ見てみてください。
さて、この自己実現欲求は食欲・睡眠欲などの基本的欲求や、安全に暮らしたいという安全欲求が満たされることで、初めて欲求という形で露出することになります。
つまり自己実現欲求は生活レベルが低い環境では、ほぼ欲求として発現することがない、ということです。
ただし、現代では科学技術の急速な発展により、人の基本的な欲求はほぼ全て満たされるようになりました。
生活レベルの急速な上昇により、自己実現欲求を持つ人々が格段に増えたのです。
自己実現欲求を持つ人々が増えると、結果どうなるのか?
答えは簡単で、これまでのような「生活するための消費」から「自分を表現するための消費」が主流になっていくのです。
つまり、全てのビジネスが『ファッション化』していくわけです。
『ファッション化』とはアパレルのファッションを示す言葉ですが、少し分かりにくいのでたとえ話を出します。
例えばあなたが今、ノートパソコンを買おうと悩んでいるとします。
10年ほど前なら、どのOSが掲載されているのか、どの程度のスペックを持っているのかなどの「機能」が非常に重要な問題でした。
しかし、今ではどのノートパソコンも基本的な性能はほぼ変わりません。
大きく変わるのは外見・色・スタイルなどの「外見」だけになっているのが、現在の社会です。
そうなってくると、多くの人々はパソコンを選ぶ時に「機能」よりも「外見」を重視するようになります。
つまり、「外見」というセンスや美的意識などの、ファッションに近い部分で商品が選ばれるようになるのです。
このように、ビジネスのファッション化とは、消費者が重視するものが「機能」から「デザインやブランドなどの感性」へのシフトを示す言葉なのです。
もう少しかみ砕いて言うと「本人の自分らしさを商品が実現できるか」が大事であり、商品を持つことによって「あなたはそういう人なのですね」と他人から思われる商品が求められているのです。
ここで『消費社会の神話と構造』という書籍から一部引用させていただきます。
人々は決してモノ自体を(その使用価値において)消費することはない。理想的な準拠として捉えられた自己の集団への所属を示すために、あるいはより高い地位の集団を目指して自己の集団を抜け出すために、人々は自己と他者を区別する記号として、(最も広い意味での)モノを常に求めている。
ビジネスのファッション化とは、まさしくこのような『自分と他者を区別する記号を商品に求めること』を言うのです。
そしてこのようなファッション化したビジネスの世界では、理論的なこれまでのアプローチは通用しなくなってしまうのは、自明の理です。
なぜなら、ファッションや感性、自己実現というものは決して論理や理性だけでは導き出せないものだからです。
「世界中の消費が、自己実現的消費に向かいつつある」
このことを理解すると、美意識やアートの側面を持たないビジネスは、今後ますます衰退していくことが簡単に予測できます。
※参考までに
Googleの行動規範は、『Do the right thing.(正しいことをしよう)』です。
Facebookの行動規範は『グローバルコミュニティの糧となる社会基盤を形成すること』です。
どちらも現代社会が求める、美意識に基づいた行動規範を作っていることが分かります。
一番大事なことは、自分自身のスタイルを貫くこと
さて、ここまで「現在のビジネスではアートを利用しないと太刀打ちできない」という話をしてきました。
しかし、アートを利用するとか、美意識を使うとか、そんなことを言われても分からないのが実情だと思います。
そこでここでは、これからの時代のビジネスを成功させる上で一番重要なことを紹介します。
それは『自分自身のスタンスを貫くこと』です。
自分自身のスタンス、つまり自分の中にある『ものさし』を最大限利用するのです。
・自分が美しいと感じるもの
・自分がきれいだと感じるもの
・自分が誠実だと感じるもの
そんなものを明文化して、常にそれに従うルールを設定するのです。
例えば私の場合は、以下のようなスタンスを設定しています。
1.言葉のちからで、人に希望を与えるコンテンツだけを作ります。
Youtube・ブログ・電子書籍・ノベルゲーム・小説など、言葉を使う全てのコンテンツで、人に希望と元気を与えることを目的とします。
2.自身の感情と美意識を一番大事にします。
作成するコンテンツの内容は、最終的には自分の感情と美意識で決定します。つまり、自分の感情を一番大事にし、自己の価値観と外れたことはしません。
3.一つの分野にこだわりません。
一つの分野にこだわることなく生きていきます。医療・ビジネス・芸術など、多様な分野で意識的に活動します。活動の共通点は「言葉を使う」と「自分が納得がいく」の二つだけです。
どんな時でも、自分なりの美意識を鍛えぬき、それに従う勇気を持つこと。
さらにそれを明文化して、多くの人から共感されるようなビジョン・商品・活動を公表すること。
これが一番大事なのです。
そして一番やってはいけないことは、既存の集団のルールや社会の常識を疑うことなく、ただ盲目的に信じることです。
盲目的に自分以外の何かを信じること。
これこそが自由な多角的な発想を必要とする、アートや美意識が生まれなくなる最大の原因だからです。
ビジネスとアートのまとめ
〇ビジネスにおいてアートが重要である理由は以下の二つ。
1.論理的・理性的なアプローチは限界に来ている
2.世界中の市場が、「自己実現的消費」へと向かいつつある
〇一番大事なことは、自分なりの美意識やスタンスを貫き通すこと。
これが今回の記事のまとめです。
まとめなので、目次を貼っておきます。
目次
ではでは、ここまで読んでいただきありがとうございます。
この記事が少しでも多くの方のお役に立てることを願っています。
もっとビジネスとアートについて知りたくなった方は、以下の参考文献をぜひ読んでみてください。
どれもなかなか目にすることができない、最先端の素晴らしい情報がかかれています。
ビジネスとアートの参考文献
(1)The art school MBA that promotes creative imagination