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医学的知識

進化的な発想は医学や公衆衛生に応用できるのか?

投稿日:

進化的なアプローチは、進化生物学に代表されるように、生物学の世界では一般的です。

しかし医学の世界では、進化的な発想を持っている人や研究者は少ないです。

その理由は、進化的な発想は病気の直接的な治療には役立たないことが多いから。

進化的な発想で得られる視点は、「病気や体の特異的な構造がなぜ存在するのか?」という疑問に対する答えです。そのような視点は、病気の新たなメカニズムや治療法の発見につながるかもしれませんが、目の前の患者を治すことには役立ちません。

 

医者は患者を治療するときに、マニュアル形式で治療を行っていきます。

その病気の根本的な原因をあまり理解しないまま、臨床医学で必要な知識を使っているだけの場合が多いのです。

 

進化医学はまだまだ始まったばかりの分野で、特に医学研究分野での形見は狭いです。

が、根本治療のために確実に役立つ発想です。

 

今回は、進化的な発想と医学の繋がりを理解するために、

「The great opportunity: Evolutionary applications to medicine and public health(1)

という論文を読んだので、その内容のまとめです。

 

Review論文で、しかも興味がある分野だったので、久しぶりに論文をじっくりと読みました。

一つの論文を1日くらいかけて読んだのは1年ぶりです(笑)

 

解説動画

 

全体の要約

進化的な発想と医学の間には大きな隔たりが存在する。が、その隔たりを解消することが、医学や生物学全体の分野の発展につながるだろう。

進化的な発想を持つためには、以下の2つの質問を意識的に行えばよい

1.系統発生的な分析は?(どのように祖先から進化や分化を果たしてきた?)

2.そのメカニズムは淘汰圧を生き残るためにどのような役割を果たしたのか?

進化的なアプローチは様々な分野で活躍しつつあるが、
特に集団遺伝学や系統学、疫学、公衆衛生の分野で活躍する。

 

また、進化医学は様々な分野の知識を統合して考える必要がある。

進化医学の視点に立つためには以下の4つの質問を意識すべき

1. How does the mechanism work?
ーどのようにしてメカニズムが働くのか?
2. What is the ontogeny of the mechanism?
ーそのメカニズムは発生的にどのようにしてもたらされたのか?(Ontogeny:発生学的に)
Evolutionary questions
3. How has this mechanism given a selective advantage?
ーこのメカニズムはどのようにして淘汰圧を生き残るうえでメリットになったのか?
4. What is the phylogeny of this mechanism?
ーこのメカニズムの系統発生(phyligeny)は何か?

 

個人的には、自己免疫疾患と寄生虫の関係性が面白かった。

自己の免疫を監視するシステムは寄生虫に対応するために発達したと考えられることや、

寄生虫に感染すると自己免疫疾患の症状が収まるとか、逆に寄生虫を治療すると自己免疫疾患になるとか、

寄生虫がTh2の働きを抑える役割を持っているとか、

そのような事実が存在するかもしれないことは、興味深い。

 

以下のような流れが存在するのではないか?

寄生虫は宿主の免疫を逃れるシステム(Th2の働きを抑制するなど)を持っている。そのため寄生虫の免疫抑制に対抗できるような、強い免疫システムを持つ進化を遂げた種が生き残った。
(自己抗原に反応するのは、寄生虫に感染していないかの確認?)

が、現代の環境では寄生虫はあまり存在しない。

そのため、強い免疫システムを持つ種は自己免疫疾患を発症しやすい。
(自己免疫疾患と遺伝子が関係していることは、広く知られている。)

しかし、自己免疫疾患を発症しない人もいる。なぜ?

環境要因?

幼い時に、寄生虫が存在する環境で育った場合、寄生虫に対応するための強い免疫システムを持つようになる?とか

しかし、幼い時に寄生虫に感染しなかった場合はどうなる?免疫が弱くなるのか?

成長してからの環境要因は?

自己免疫疾患を発病する確率は、年齢によって違う?

 

自己免疫疾患が存在する理由は、自己免疫疾患以上の害悪を及ぼす病気などを予防するため?

 

幼い時の環境が良すぎると、アレルギーを発症するのはなぜ?

寄生虫などの感染が多い発展途上国ではアレルギーは発症しない。
(→寄生虫が免疫システムを抑制することにつながる)

アレルギーの原因はいろいろあるが、主なものはIgAの分泌が多いこと?(要確認)

 

また、寄生虫以外のウイルスや細菌感染が、自己免疫疾患を引き起こしている可能性も考えられる。

 

内容の要旨

進化生物学は医学や生物学を研究する際の、最も基本的な手法だが、多くの医学研究者や医者がその有用性を知らない。医学と進化生物学にはギャップが存在するから。

医学と進化生物学のギャップ

・進化生物学の論文は、医学系の論文を多く引用しているが、逆はかなりレア。
・医学の発展に、進化論が寄与してこなかった。
・医学の分野が広いので、医学部の学生が進化生物学に勉強時間を取れない
・基礎医学の分野に進化生物学が存在しない。
・医者が医学について知ってるほど、進化生物学者は医学について知らないし、逆もしかり。

進化医学には2つの説明が必要

・近位的説明:病気の生体内でのメカニズム
・起源的説明:なぜ自然淘汰がその病気を残したのか?なぜそのメカニズムを獲得したのか?

 

Tinbergen’s four questions
Proximate questions

1. How does the mechanism work?
ーどのようにしてメカニズムが働くのか?
2. What is the ontogeny of the mechanism?
ーそのメカニズムは発生的にどのようにしてもたらされたのか?(Ontogeny:発生学的に)
Evolutionary questions
3. How has this mechanism given a selective advantage?
ーこのメカニズムはどのようにして淘汰圧を生き残るうえでメリットになったのか?
4. What is the phylogeny of this mechanism?
ーこのメカニズムの系統発生(phyligeny)は何か?

医学書は1と2の質問にしか答えてくれないが、進化の立場から病気を考える時は上記の4つの質問に全て答える必要がある。

黄斑(皮膚や目が黄色になる)は肝臓の機能が低下し、ビリルビンの蓄積によって引き起こされる。
医学書ではビリルビンが胆汁の中に含まれており、潜在的に危険なものであることについて述べているが、なぜビリルビンが存在するのか?については全く説明しない。

ビリルビンは酸化によるダメージを抑える脱酸化酵素であり、アテローム性動脈硬化症を抑えるため、心疾患のリスクをビリルビンは押さえている。

ビリルビンが存在するのは、酸化によるダメージが黄斑よりも有害であるから。

 

医学は実技的なパフォーマンスであり、科学ではない。そのため、多くの医者が「進化医学」という単語を聞いたときに、懐疑的な目を向ける
「どうやって臨床応用するんだ?」と。

進化医学には実践的に使えそうな論理や仮説が存在するが、実際の医学の臨床分野での治療を劇的に変えるようなものではない。
治療は仮説や理論に基づいて行われるのではなく、ヒトを対象とした対照実験によって導き出すべきものだから。
進化医学はその意味では、臨床での活躍ではなく、医学研究での活躍ができる分野なのかもしれない。

 

進化的な説明・疑問は2種類存在する。

系統的な疑問(特に病原体の進化による系統分布を調べること)と、進化適応における重要性の疑問(生存のためにどのように役立つのか?)の二つに分かれる。

系統学(けいとうがく、英語:phylogenetics)とは、生物の種の系統的な発生、つまり生物の進化による系統分化の歴史を研究する学問。医学の研究者は幅広くこの系統発生的な考えをゲノムを解析する際に使っている。
インフルエンザやHIVなどの病原体の系統発生を調べることで、新しい治療薬の開発や流行する病原体の形式の予測ができるし、がんの分化の過程を知ることで、がんの由来別の適切ながん治療をすることが可能になる。

遺伝子に対する考え方2つ

1.遺伝子は生存可能性を高めるような傾向をもつ遺伝子の寄せ集め
2.いくつかの遺伝子変異には、たとえ遺伝子変異が起こったとしても、その変異が引き起こすような要因(環境)がなければ機能しないものがある(そのような遺伝子をquirksと呼ぶ。例:近視の遺伝子は、子供時代に勉強などをしない狩猟採集などを行った場合は機能しない。)

集団遺伝学は進化生物学において、一般的な効果的なアプローチ
(集団遺伝学:突然変異(mutation)、遺伝的浮動(genetic drift)、自然選択(natural selection)、遺伝子流動 (gene flow)、遺伝的組み換え(recombination)、集団構造などを論じて、そのようなプロセスが集団の適応や種分化に及ぼす影響を論じる。)

 

近年発達してきている研究分野

・進化遺伝学:進化の過程で遺伝子がどのような影響を受けてきたのかを研究する分野。乳糖の代謝酵素やApoE4や嚢胞性線維症の遺伝子がなぜ存在するのか?

・Genetic conflicts

インプリンティングなど、父親と母親由来の遺伝子における対立

・aging reserch

老化や死について、至近的な説明だけでなく、老化というメカニズムがなぜ存在するのか?という究極的な説明を求める。
老化は世代交代による進化適応を速めるためのメカニズムだ、という説がある。

男性が女性よりも早く老化して、速く死ぬ傾向にある。
この傾向は一夫多妻制をとっている動物に多く見られる。
その理由は、短い生殖可能期間は、年老いた男性を選ぶことを避けさせるから?

(一夫一妻制:長く自分に投資してくれるパートナーを選ぶ。→生殖可能な時期でも、できるだけ若い相手を選んだ方がいい。)

・Infectious disease

病原体は私たちの体内(口の中や鼻の中でも)においても素早く進化する。抗生物質への耐性がそのよい例。
アレキサンダーフレミングがペニシリンを発見して数年後、彼は薬剤耐性を発見した。
抗生物質はその抗生物質に適応できる病原体のみを素早く増やす。

黄色ブドウ球菌はペニシリンに耐性を持った初めての細菌。他の細菌もどんどん薬剤耐性を獲得することになる。

進化生物学の世界では、薬剤耐性菌の出現を自然淘汰(Natural selection)として説明することが多いが、医学の世界では、単に「出現した」としか書かれていない。

薬剤耐性菌の出現は、人間の影響によるところもあるが、バクテリアと真菌が何百万年もの間、相互に生存競争を行ってきた影響が大きい。(抗生物質ペニシリンの発見はアオカビからだった。つまり、バクテリアと真菌は人類よりもずっと長い間抗生物質による生存競争を行ってきた。)

宿主動物の方も、細菌や真菌と比べるとかなり遅いスピードではあるが、確実に進化を行っている。
結果として個人の遺伝子は多様性に富むことになる。

赤血球にCCR5受容体を持たない人は、HIVに感染したとしても、AIDSにかからない。
しかし、CCR5受容体はウエストナイル熱に抵抗することができる。

不完全な予防接種は病原体が毒性を増す淘汰圧を呼び起こす。
しかし、ジフテリアで見られたように、病原体の毒性を減らすようなワクチンは効果的?

別々の患者に、別々の薬剤を、異なる周期で利用すれば薬剤耐性の出現を減らせる。

 

感染症によって引き起こされる多くの症状は、病原体そのものが引き起こすのではなく、
熱による免疫反応の活性化や、咳などによる病原体の排出などの、人間の生来の防御機構によって生じる。
そのため、生体の防御機構も病原体と共に自然淘汰を受けて発達したと考えられる。
(selection shaped defense regulation)

‘smoke detector principle,:私たちが火災を避けるために、目立つ煙を気にする。
そのため生命の病原体への防御反応も、潜在的な危険よりも過剰に行って、できるだけ素早く以上に対処できるようにする。
(自身を守るための熱がしばしば致死的になるのはこのせい。ただ、防御反応が少なすぎるよりはマシ)

病原体自身が人を殺すのか?それとも過剰反応する人間の防御機能によって引き起こされる炎症が人を殺すのか?

病原体の毒性を調べることで、免疫系がどのように進化してきたかが分かるかもしれない。
免疫が多様性をもつ理由も?

病原体の毒性は、その病原体の感染経路による。
できるだけ感性が拡大するように、病原体は自身の毒性を変える

水の浄水システムが整っていないなどの、衛生環境が悪い場合は宿主が一か所にとどまるほどに毒性を強くしても病原体は繁殖できた。が、衛生環境を整えることで、病原体は宿主が動きまわれるほどに毒性を強くする。

Developing applications

なぜ自然淘汰はヒトが病原体にかかるようにしたのか?もしくはもっとヒトを病原体に強くしなかったのか?
以下の6つの説がある。

Six reasons for vulnerability

Selection is slow
1. Mismatch with the modern environment
2. Pathogens coevolving with hosts
What selection can do is limited
3. Constraints on what selection can do
4. Trade-offs
We misunderstand what selection shapes
5. Selection maximizes reproduction, not health
6. Defenses such as pain and fever are useful despite causing suffering and complications

Nutrition and development

thrifty phenotype:胎児は母体の中で栄養不十分な状態にさらされると、倹約型になる。エネルギーを蓄えやすくなる一方で、肥満や糖尿病にかかりやすくなる。

自然淘汰は私たちの食物の代謝の仕方に多様性を持たせ、様々な環境対応できるようにした、と考えられる。
また、倹約型のように、出生時の体重が軽いことは、肥満や糖尿病のリスクになっていることも明らか。
問題は胎児期の発達が、外の世界の状況を予想してのことなのか、それとも何か別の理由によるものなのか、ということ。
(エピジェネティックスで説明できる)

Miscarriage(流産)

流産は感染に弱い胎児をはじくために備わっているメカニズムなのではないか、
女性の生殖器は不完全な配偶子を発見できる、とか、
小さなコミュニティを調べてみると想定よりも多くの数のMHC(HLA)が存在したので、ヒトはフェロモンやにおいによって、異なったHLAを持つ人をパートナーに選ぶのではないか、とか言われている。
(つまり異なったHLAを持っているなら流産しない、とか)

Hygiene hypothesis(衛生仮説)

ヒトの早期死亡率の低下は、医療技術の発展ではなく、主にワクチンや衛生改善などの、公衆衛生への介入によってもたらされた。が、一方で人が進化してきた環境とは大きく異なっている。例えば寄生虫。

寄生虫への接触回数の減少
寄生虫が現代社会に存在しないことは、現代になって急増した自己免疫疾患、アレルギー、糖尿病、小児白血病の出現理由を説明できるかもしれない。
寄生虫に対応するために、自己に反応する抗原を監視するシステムが発達したと考えられるから。
(寄生虫がES-62というTh2細胞を抑制するタンパクを作っていたのではないか?Melendez et al. 2007)
寄生虫の治療を開始すると、気管支炎やクローン病の確率が高まるとまで言われている。
IBDやクローン病を持っている人に、牛の鞭虫(whipworm)を与えたところ、70%の症状が改善した(remission : 赦免 )

現代の衛生環境のルールを進化的に読み解くことで、自己免疫疾患の素早い原因解明につながることが予想される。

Cancer

進化的ながんへのアプローチは始まったばかり。
老化はがんを防ぐため、ではないのか?

Epidemiology(疫学:集団を対象として病気の発症原因を調べたり、拡大予防を行う分野)

進化的な考え方は、疫学と公衆衛生で特に役立つと考えられる。
何かしらの疾患の危険因子を探る時は、リスクだと考えられているものが、狩猟採集生活で豊富にあったかどうか、を考える。もし、豊富になかったのであれば、現在の環境がもたらした変化、という形でリスクだと考えるべき。
一見して無害な現在の環境でも、何かしらの病気の原因になっていることが多い

例)照明とメラトニンの関係

For instance, ubiquitous(豊富な) lighting has transformed our
lives. Instead of settling down to slow pursuits when
darkness falls, we read, study, dance and watch television
until long after we would have otherwise gone to sleep.

The light itself may be risky. Melatonin levels increase in
the dark.
A study of visually impaired (視覚障害)women – who tend
Nesse and Stearns Evolutionary applications to medicine and public health
to have higher than normal melatonin levels – found risks
of breast cancer about half of the rates for other women
(Kliukiene et al. 2001).
A subsequent study of nurses
found those doing shift work and others exposed to light
at night had increased cancer rates (Stevens 2005).

In a fine demonstration of the value of research connecting
proximate mechanisms with evolutionary hypotheses,
melatonin-depleted blood from postmenopausal women
has been shown to speed the growth of human breast
cancer xenografts on nude mice (Blask et al. 2005). More
work is needed on this, but even now it suggests a new
set of risk factors we should measure, and some simple
public health advice – sleep with the lights off.

Melatonin depleted blood : メラトニンが枯渇した血液
postmenopausal women:閉経後の女性

また、現在肥満となり、糖尿病となっている人の数が急激に増えている。
糖尿病には確かに遺伝子が関係しているが、遺伝子だけでは疫学的な肥満と糖尿病の発生を説明できない。
遺伝子だけでなく、近代的な食生活が関係していると考えるべき。

痩せなければいけないことはわかっているのに、なぜ多くの人は食べ過ぎて、運動不足になるのだろうか?

その理由は昔痩せていて、非生産的なことにカロリーを消費していた人々は子供をあまり多く作らなかったからかもしれない。(女性は体脂肪率が一定以上にならないと、排卵しない。)
また、糖分、塩分、脂質を好んでカロリーを蓄えていたものが、自然淘汰で生き残ったせいもしれない。
また、自然淘汰が体重の増加を抑制する力は、体重減少を抑制する力よりも弱いからかもしれない。

食事に関する進化的な示唆のまとめ

1.大した努力をしなくても食べ物を食べることができる時、ヒトは食べ過ぎて、運動をしない傾向が備わっている。
2.自然そのままで完全に安全な食事はない。(植物が毒を含むかもしれない、など)

Mental Disorder

半数以上の精神障害は、不安や恐怖を通常よりも強く感じる。
また、不安や恐怖を多く感じることは、慢性の痛みや咳に近いもので、問題点はどうすればそのような感情を抑えることができるか、である。
ただし、至近的説明と究極的説明を忘れてはならず、環境などの至近的要素を入れない分類をしてはいけない。

セロトニン運搬遺伝子のように、遺伝子と環境が合わさって初めて何らかの精神疾患の症状が出る。
そのため、環境要因と遺伝子を組み合わせて考えることが必要。
しかし、環境要因の測定(人生におけるストレス体験などの回数)は、遺伝子の測定と比較するとかなり大雑把で信頼に足らないことが多い。
(気分の落ち込み具合の測定が、人生における環境要因として有効である、との説もある。)

schizophrenia:精神分裂症

ハプロタイプ(wiki)

ハプロタイプは、生物がもっている単一の染色体上の遺伝的な構成(具体的にはDNA配列)のことである。二倍体生物の場合、ハプロタイプは各遺伝子座位にある対立遺伝子のいずれか一方の組合せをいう。

またゲノム全体に対して(複数の染色体にまたがって)いうこともあるが、この場合には特にいずれかの片親に由来する遺伝子の組合せを指す。通常、母系のミトコンドリアと、父系のY染色体が対象となる。

さらに現在は限定的な意味として、同一染色体上で統計学的に見て関連のある、つまり遺伝的に連鎖している多型(一塩基多型[SNP]など)の組合せをいうことが多い。

 

Disorders such as schizophrenia require fundamentally
different explanations. Older ideas about the adaptive
value of schizophrenia are now mostly discredited,
although a haplotype associated with higher IQ is also
associated with a higher risk of schizophrenia (MeyerLindenberg
et al. 2007).
Also, a haplotype associated with
a GABA-A receptor shows clear signs of positive selection(正の選択(免疫?)),
which are weaker in lineages(血統) with schizophrenia (Lo et al.
2007). Of particular interest is the hypothesis that autism(自閉症)
and schizophrenia may be the flip-sides(裏返し) of extremes of
the competition between imprinted genes coming from
the father and the mother, the Haig idea applied to psychiatry
(Badcock and Crespi 2006; Crespi et al. 2007).

Substance abuse is both more straightforward(直線的) and
more difficult. The straightforward aspect is that most
drugs that affect the central nervous system evolved in
plants to protect them from insects. In modern environments
we create increasingly clever ways of purifying(精製) and
administering(投与) them making addiction more common and
more devastating(破壊的). They hijack brain mechanisms that
evolved to regulate behaviors such as foraging(採集) for ripe
nuts (Nesse and Berridge 1997). The problem becomes
quickly complex, however, because of profound individual
genetic variations in vulnerability(脆弱性) to substance abuse
that interact in complex ways with social environments
that vary even from month to month for individuals
(Zucker 2006).

精神疾患の分野は、次第に至近的なメカニズムと個人間の相違だけに焦点を当てることから脱却し、ヒトが共有している精神疾患への脆弱性や環境がどのようにして精神疾患を作り上たのかに焦点を当てるようになっている。

まとめ

進化医学の考え方は、異なる様々な学問分野を基にしている。
遺伝学、古生物学(paleontology)、微生物学、免疫学、環境学、発生学、がん研究、生理学(physiology)、解剖学、行動生物学、疫学、人類学、臨床医学など。それぞれの分野は、異なった質問形式を用いて、進化的な疑問を使っている。

進化的なアプローチは、体と病気に関する基礎的な理解につながるため、最も基礎的な科学だと言っても良いかもしれない。

進化的な考えに基づく疑問は、メカニズムの新しい有用な理解を得ることにつながるかもしれない。

医者はプロトコル通りに病気を扱うことが多い。
実際、対照実験での有効性が示されているような、プロトコル通りに治療を行ったほうが効果的なのかもしれない。
しかし、進化的な考えに基づいて、病気に関する深い考察を持ってほしいと思っている。

私たちの体は機械ではない。デザインされたものではなく、設計図もない。
私たちの体は自然淘汰によって形成されたものであり、その多様性は固有のもの(intrinsic)である。
普通の遺伝子というものはなく、普通の体というものはない。
ただ、遺伝子と環境がヒトの体を作り出すという、発達の過程があるだけ。

生物をメカニズム的に、機械的に扱うことから脱却することによって、
医学はより強固な基盤を生物学に提供できるかもしれない。

Practical suggestions
Building a scientific community
Medical education reforms

 

参考文献

(1)Randolph M Nesse and Stephen C Stearns
The great opportunity: Evolutionary applications to medicine and public health

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