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医学的知識

見えないはずなのに見える「盲視(ブラインドサイト)」のから理解する人間の脅威

投稿日:2018年9月11日 更新日:

人間の適応能力の高さや、進化の速度には驚くべきものがあります。

今回はそんな人間の生きる能力の凄さを示す一例として「盲視(ブラインドサイト)」というものを紹介していきます。

盲視とは、簡単に言えば「見えないはずなのに見える」という現象のことです。

 

*2018/10/22追記

盲視の現象が起きる理由は、近年分かってきました。

視覚情報の10%は第一次視覚野ではなく、中脳の上丘へ網膜視蓋投射経路というものを通じて伝えられ、さらにその情報が大脳皮質で処理されるため、第一次視覚野が欠損し、目の機能が残っている人はものを見ることができるのです。

盲視では人の喜怒哀楽などの感情をよく見ることができるとされているのも、中脳へ視覚情報が一度投射されるためです。

 

見えないはずなのに見える

人間の脳の後方には「第一次視覚野」と呼ばれる視覚の認識をつかさどる部位が存在します。この部位が損傷すると、目から入ってきた視覚情報を変換、処理することができなくなるため、たとえ目が健全あっても事実上盲目になります。

しかし、実際に第一次視覚野に損傷を受けた人々を調査すると、「いろいろなもので散らかった廊下を何にもぶつかることなく歩くことができる」など、彼らはまるで実際に目が見えているかのように行動できることが明らかになりました。

しかし、彼らに「どうやって見えないはずの障害物をまるで見えるかのようによけて歩いたのか」を聞いても、まるで分らないと答えたそうです。

この「無意識のうちに『見る』」「見えないはずなのに見える」という現象を盲視と呼びます。

 

盲視のメカニズムを明らかにするための実験

この盲視の詳しいメカニズムはよく分かっていないのですが、2009年のティブルグ大学の研究によって盲視のメカニズムの示唆がもたらされています。

第一次視覚野を損傷し、写真を見ることができないはずの被験者に感情的な表情をした人の顔写真を見せると、「情動感染」という反応が示されることが明らかになりました。

情動感染とは、無意識のうちに自分の顔の表情を他人の顔の表情と真似てしまう現象のことです。

人は他人が笑ったり、怒ったりしている時に、その人感情を理解するために顔の表情を真似ることをします。顔に電極を貼り付けることで観察できる程度の、とても小さな反応なのですが、確かに顔の筋肉は他人の表情を真似るために動いているのです。

第一次視覚野に損傷を受けて事実上目が見えない人に、微笑んでいる顔写真を見せると、同じく微笑みを見せたのです。また、体を丸めて恐怖に耐えている様子や、恐怖を感じさせるような写真についても、同じような情動感染のような現象が起こるのです。

ここで注目すべきは、喜びなどのポジティブな感情を表した写真よりも、恐怖などのネガティブな感情を表した写真の方が強く情動感染は起こった、という事実です。

たとえ事実上目が見えていなくても、盲視によって恐怖の感情には強く反応することが明らかになったのです。恐怖の感情などのネガティブな情報には、人は強く反応するということを示してくれる実験でもあります。(1)

「人は見えないものにこそ強く惹かれる」

この言葉で盲視の紹介を締めくくろうと思います。

 

参考文献


脳科学は人格を変えられるか? (文春文庫)

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