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心理学 読んだ本紹介

人の行動はどのように進化してきた?~友達の数は何人?ダンバー数とつながりの進化心理学の内容まとめ~

投稿日:2018年10月15日 更新日:

「友達の数は何人?ダンバー数とつながりの進化心理学」を読んだので、その要約・レビューなどです。

メタ認知読書に従って、内容を理解するための質問事項を最後に追加しています。

 

この本の流れをざっくり説明すると、最初は他の霊長類や動物と、人の性行動の違いについて述べられています。次第に「なぜ人は言語・宗教・芸術などの固有の文化と呼ぶべきものを生み出したのか?」について考察していく流れになっています。

人の文化の固有性やその誕生について、詳細な考察がなされています。

「志向意識水準」など難しい言葉や専門的な人類学の言葉も本文中に登場しますが、一つ一つじっくりと考えながら読むことができれば、きっと進化というものがもたらした人間固有の特徴のすばらしさについて理解できると思います。

 


友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

目次

解説動画

 

書評

進化人類学を専門としている作者が、進化心理学や豊富な人類学の知識を用いて、「なぜ人は言語・宗教・芸術などの固有の文化と呼ぶべきものを生み出したのか?」を分かりやすく説明している本。

進化心理学は進化の立場から、人間の行動形質について考察していく学問。

進化心理学の主な分野は「男女の性行動の違い」「人間がなぜ固有の知性と分がを発展させてきたか」「精神疾患の進化的機能」であり、この本では前者2つについて主に触れられている。

・キスはヒト特有の行動であり、なぜ人は熱心にキスをしたがるのか?

・メスやオスが浮気をするメリットは何か?

・男女の異性への好みは進化的にどのように説明できるのか?

・ホモ・サピエンスの進化の過程で、言葉はどのような役割を果たしてきたのか?

・音楽や物語などのフィクションが存在する理由は何か?

・宗教はホモ・サピエンスの生存にどのような役割を果たしてきたのか?

などの疑問に分かりやすく答えてくれる。

本を読んだ後はきっと、進化を用いた研究に興味をもつことができるだろう。

進化心理学に興味を持った方は「進化心理学入門」をオススメする。

詳しい内容の要旨などについては以下を参照(2018/10/15公開予定)

https://wp.me/p9Cd8y-DP

 

全体のまとめ

進化は突然だが、その収束の仕方には一定の法則がある。

宗教や言語、笑いや音楽などの人間特有の文化が存在する理由は、それぞれが人間の生存に役立ったから。

宗教集団の結束力を高めるために、言語はお互いの情報交換をして集団内で自分の生存に有利に動けるように、笑いや音楽はエンドルフィンやオキシトシンを分泌させて、結束力や信頼感を高めるために用いられてきた。

 

これらのヒト特有の文化は全て「心の論理(志向意識水準)」にその端を発している。

心の論理とは、自分に意識があることを認識し、そのうえで相手が何を考えているのかを推察すること。

心の論理を持っている霊長類は多いが、人間ほどの高度な心の論理をもっているものはいない。

脳を拡大させて知性を獲得した結果として、いつの間にか知性の対象が外部の危険や食物ではなく、自身の内面に向かったのだろう。

 

人がここまでの繁栄を遂げることができたのは、ひとえに「内省する力」があったから、

内省とは、自身の心を省みることであり、他人の心を推測すること。

そして、探求心もヒトの発展に寄与している。前提となる知識を手に入れることができるからこそ、人は巨人の肩の上に乗ることができる、つまり、新しいものの見方や考え方を得ることができる。

人間はこれまで積み上げてきた知識や経験を活かして、問題を徹底的に追及する探求心を持っていたからこそ、ここまでの繁栄を遂げたことを忘れずに、研究や勉学に励むべし。

 

各章のまとめや要旨

1章:貞節な脳(男と女)

脳は人間の進化の成功例だが、進化の妥協という気まぐれによって、思っているほど柔軟ではない。

脳が発達した理由は集団的な複雑な社会に適応するため、というのが一般常識
が、鳥類でも哺乳類でも「一夫一妻」形式をとっている種は脳が大きい。
逆に乱交に励む種は脳が小さい。

また、一生を同じパートナーと添い遂げる種(フクロウ、カラス、オウムなどの鳥類)は、はるかに脳が大きい。

つまり、以下のような理由によって、一夫一妻形式(特に一生を同じパートナーと添い遂げる種)は複雑な脳がなければ維持できないのではないか?

・悪条件の相手を選んでしまったら遺伝子を残すことができない(見抜く能力)
・パートナーの生殖段階に応じて行動を変えなければならない(相手の立場でものを考える)

(まあ、そもそも決まった相手と関係を長期的に維持すること自体が難しい。)

母親由来の染色体を持たないラットは脳の新皮質が完全に発達しない。
また、父親由来の染色体をもたないラットは大脳辺縁系が発達しない。
(ゲノムインプリンテシング:よく分かっていないわ。)

霊長類の脳を調べてみると、以下なことが分かった。
・脳の新皮質の大きさは集団内のメスの数に比例するー高度な社交性を持っている
・脳の大脳辺縁系の大きさ(情動(パーペツ)回路)はオスの数に比例するーつがいを獲得する闘争意欲を生み出す

ほとんどの霊長類の子育ては、他のメスが協力するかどうかによってきまる。
(特にヒトは一人では出産できない)
また、オスはできるだけ多くの生殖行動を行うために、他のオスと恐れることなく戦う必要がある
(性内淘汰)

男性はほぼ全てが三原色で生きているが、女性の1/3は4つの基本色で見ている(4色視)

錐体細胞は三原色に分かれる。
赤・緑の錐体細胞を構成するための遺伝子はX染色体上にあり、青色錐体細胞の遺伝子は第7染色体上に存在する。
そのため、赤と緑を区別できない一般的な色覚以上は圧倒的に男性に多い。

女性の4色視は、X染色体上の錐体細胞を構成するための遺伝子の多様性によって生まれていると考えられる。
(X染色体上のそれぞれの遺伝子が、全く同じ波長を認識するとは限らないから。)

霊長類のどの種にもオスとメスの色覚の違いが存在する。
また、顔の色が血流の変化で変わる種は例外なく3色視

女性が嘘を見抜くことが得意なのは、色覚が豊かで相手の顔色の些細な変化を見抜けるから?

2章:ダンバー数(仲間同士)

社会組織は個人対個人の関係も含めて奥が深い。

霊長類の脳の大きさの理由
1.食べ物の確保(探す、手に入れる、判断)
2.複雑な社会に対応する(社会的知性説orマキャベリ的知性説:だます知性)

霊長類の集団の特徴は以下の2つ
1.個体同士の密接な関わり合いが特徴的で、既に集団がきっちりと出来上がっている。
2.霊長類は自分の集団について知っていることや、覚えたことをお駆使しながら高度な集団間の同盟関係を形成する。

集団サイズと脳の新皮質のサイズには明らかな相関関係がある。

霊長類が複雑な集団サイズを大きくしなければならなかった理由
・敵から身を守る

ダンバー数=150人。一人の人間が構築することのできる人間関係の限界値

氏族(クラン):共通の祖先を持つという意識を共有した集団
氏族は約150人。
中隊の人数は約150人。
上手く行く企業の人数は150人。
150人以上になると、個人間の関係性が親密で無くなり、協力をしなくなるし、序列関係を設けるなどの人事管理を徹底しなければならない。

共同体を構成するのは、仲間への義務感や相互依存。だが、ダンバー数を越えると、それが効力を失ってしまう。

地位が高いオスほど多くのメスと交尾ができる、というものが霊長類の基本ルール。
しかし、新皮質が大きい種は裏をかけるので、それが当てはまらないことが多い。
(地位の低いオスが上位のオスの目を免れて交尾をする)
また、戦術的欺き(目的を果たすために動物が他の動物を利用すること)も新皮質が多い種で起こりやすい。

メンタライジング=相手の表面的な行動だけでなく、心理的な内面を考慮する。

社会的ネットワークは3の倍数で構成されていく。

一人の人間が交友関係を保つことができるのは150人程度。
そして、一人の人間の友人の親密度の度合いを比べてみると、最も親しい人は3~5人。その外側には10人。さらに外側には30人。となる。
つまり友人は5→15→45→…と3の倍数ごとに増えていく。

「シンパシー・グループ」:特に親しい人たちのこと。12~15人。

一人と親密になると、誰かを追い出す。

 

3章:親類や縁者の力(血縁)

共同体意識の根幹に血縁関係が存在する。
コミュニティの構成員は血縁という複雑な網にからめとられている。

共同体を共有する人のことは信用できると考える。

血縁かどうかを判断する基準は、未来の世代に対して共通の利害を持っているかどうか。
つまり、一部でも自分の遺伝子を残すかどうか。

血縁による相互の結びつきの中にいると、強い安心感と満足感が得られる。
子供が病気にかかったり、死亡する数は、血縁ネットワークの規模とぴったりと反比例する。

血縁者にちなんだ名前を誰かにつけるのも、共同体意識を加速させる一例。
自分の氏名と同じ苗字を持っている、名前を持っているだけで共同体意識を持つ。それが珍しければ珍しいほど。

ハミルトンの法則:共通の祖先に由来する遺伝子を共有する個体同士は、遺伝的な利害関係が強いので、利他的な行動をとる可能性が高い。(包括的適応度)
この法則は現代進化生物学の基礎を築いた。

方言はほんの数世代のうちに起こることが多く、方言は生まれた土地を証明するための証になっている。
つまり、コミュニケーションのために生まれた言語も共同体を意識するために使われている。

 

4章:ご先祖様という亡霊(民族)

全ての男性の約0.5%がチンギス・ハーンの遺伝子を引き継いでいる。
もし、自分の祖先が中央アジア出身ならばその可能性は8.5%になる。

ハプロタイプ=Y染色体のDNA配列。
Y染色体は男性のみに引き継がれるので、同じ祖先を探すため研究に向いている。
特定のハプロタイプが共有されていると、同じ祖先から遺伝子を共有している可能性がある。

特定の地域に特定の遺伝子系統が共有され、物理的な分布の違いが存在する理由

1.ただの偶然。遺伝的浮動というプロセスによって徐々にひろがっていった。
2.遺伝子に圧倒的な強みがあったため、淘汰を勝ち抜いた。
3.性淘汰。優秀な子孫を残す確率が高くなるような遺伝子を持っていた。

2人のノンコーディングDNAを比較して、一致しない遺伝子の数を変異の頻度で割り算すると、その二人がいつ共通の祖先から枝分かれしたかが推測できる。

現在ヨーロッパで使われている言葉は、フィンランド語、ハンガリー語、バスク語などを除いて、インド・ヨーロッパ語族の言葉から生まれている。

 

5章:親密さの素(触れ合い、笑い、音楽)

サルや類人猿は多くの時間を毛づくろいなどの触れ合いの時間に充てる。

触れ合いは人間にとっても重要。
親密になった相手にしたくなることが触れ合い。特別な親密さを示す。

触れ合いは言葉で能動的に理解するようなものではなく、もっと深い感情レベルで受け止める。
触れ合いを感じる力は本能などの原始的なものだと解釈できる。
その証拠に触れ合いは進化面では後発組の言語中枢とは関係が薄く、情緒的な右脳と強く結びついている。

触れ合うことの重要性が過小評価されているのは、言語で説明できない側面が多く、直感で理解するしかないから。

スキンシップは情動的な側面が強いため、本能を強く刺激する。
また、それほど親密ではない人たちとのスキンシップを避けるのは、身体的な接触がきっかけで情動的なスイッチ(つまり性的興奮)が入らないようにするため。

信用はオキシトシンによって形成される?-オキシトシンを投与されると、他人と何かを分け合おうとする気持ちが強まる。

オキシトシンは社交的な様々な場面で重要な役割を果たしている。
何かの体験や時間を共有するだけでも、ヒトと触れ合うだけでもオキシトシンは分泌される。
セックスの最中や終わった後では大量にオキシトシンが分泌されて、深い充足感と愛着を生み出す。
ハタネズミは種類によって単婚型と乱婚型に分けられるが、単婚型はオキシトシン感受性が強い。
オキシトシンの感受性の強さには個人差がある。また、女性は男性よりもオキシトシン感受性が強い。

笑い、とりわけ共有される笑いには、連帯感を生み出す驚異的な力がある。
笑うことで心が軽くなり、居心地がよくなり、見ず知らずの人とも会話が弾む。他人に寛容になれる。

エンドルフィンの分泌を促すもっとも効果的なものは、腹の底から湧き出す大笑い。胸郭と筋肉が大きく動くから?

チンパンジーの笑いは「アーハーアーハー」など、呼気と吸気の繰り返し。
ヒトの笑いは「ハッハッハ」と勢いがつく。
ヒトは誰かと一緒に笑うが、チンパンジーは単独で笑う。
(だからこそ単独で笑っているやつは気味が悪い)

音楽は異性を引き付けるためのものであり、自分が優秀な遺伝子をもっていることを周囲に示すためのもの(ダーウィン)

作曲家は生殖可能な年齢の間が最も多作。
また、新曲を書くペースは結婚するとがくっと落ちるが、離婚するとまたペースが上がる。そして結婚するとペースが落ちる。

音楽は人間の右脳に存在する最も原始的な領域を強く刺激する。
音楽はエンドルフィンの放出にも寄与している。

つまり、音楽は幸福感や満足感と大きく関わっており、集団意識や帰属意識などの社会的な結びつきを強める働きを持つ。
音楽は社会的結束を高めるために生まれたと考えられる。(言語も)

 

6章:うわさ話は毛づくろい

世界を動かしているものはうわさ話であり、ヒトは他のヒトの話をすることが大好き。

平均して1日にヒトがおしゃべりに費やす時間は6時間ほど
(ちなみに僕は2時間以下。代わりに独り言)
そして、ヒトは他の人と一緒にいる時は、いつまでも黙ってられない。無意味な内容でも、必死に話す内容を探そうとする。

その理由は、言葉は一種の毛づくろいだから。
親密な関係にあるほど、お互いの体に優しく触れたり、髪を撫でたくなったりする。
スキンシップは社会生活を順調に流すためのペースメーカー。そして言葉もスキンシップと同様の効果を示す。
わざわざ話しかけるのは相手に関心を持っている証拠であり、気持ちが向いていることの証拠。

男女の会話は全く違う。
女性の会話は親密な社会的ネットワークを構築するため。(会話に参加できるということは、社会に認められているから。)
男性の会話は自己宣伝のため。自分が相手よりも優れていることをアピールする。知識を持っていることをアピールする。
(つまり、セックスアピール)特に男性の会話に女性が混じった時は、男性は急に自己主張を始める。男性の会話はいわゆる政治ゲームで、ライバルを蹴落として、自分という人間を有名にするため。

母親が赤ん坊に効かせる歌うような語り掛けが、言葉の起源ではないか、という説がある。
実際、母が子供に呼びかける言葉は「母親言葉」と呼ばれ、
オクターブが高くなったり、リズム感があったりするので、音楽との共通点が多い。

母親言葉には赤ん坊を落ち着かせるだけでなく、赤ん坊の発達を後押しする働きもある。

ヒトの赤ん坊は類人猿の赤ん坊と比べて1年ほど発達が早く生まれてくる。

また、歌はエンドルフィンの分泌を促すので、赤ん坊をあやしたり発達を促したりするだけでなく、共同体の幸福感を高めるために使われている。

うわさ話は、その場にいない人の情報を交換することによって、集団内での関係調節を上手く行うために発達した。
あらかじめ情報を共有しておくことで、初対面の人にどう接すればよいのかが分かるし、何をしてはいけないのか?が分かる。

毛づくろいは一対一の関係にすぎないが、言葉を使うことで人を多くのタイプに分類することができる。
ヒトをタイプ別に分類する、つまり階層別に分類することによって、初対面の人でも上手く接することができるようになる。

つまり、分類と慣習という二つの事柄があるおかげで、人間関係のネットワークは拡大した。
初対面の人とうまく接するために、言葉(うわさ話)は発達した。

そして初対面でなくなり、親密になればなるほど、言葉が登場する機会は減っていき、1対1の毛づくろい(スキンシップ)の関係になっていく。

多くの人が愛している「物語」は人間特有の行動。
歴史上でも数多くの物語が存在し、多くの人々がその物語を語り継いできた。

物語の多くは起源を伝える。
「起源=自分たちはどこからきて、どのように今の形になったのか」を語ることで帰属意識も高まるし、集団意識も高まる。

知識の共有はコミュニティの会員証のようなもの。医者や研究者などの専門的な職を考えると理解できる。
専門的な言葉はコミュニティの証。自分たちの特異性を主張したがる。ただし専門バカも多い。

物語は暗闇で、夜に多く語られる。
聞く方もわくわくするし、感情も簡単に高まるから。

 

7章:今夜一人?(魅力)

基本的には男は自分よりも若くて沢山子供を産むことができる女を選びたがり、女は地位と権力と金をもつ男に惹かれる。
女が自分よりも権力のある男と結婚すると、子供が生き残る確率が1.3倍になる。

男は自分よりもうんと若い女、とくに受胎能力がピークになる20代後半の女性を好み、逆に女は自分よりも3~5歳年上の男を好む。
この二つの違いは、永遠に解消しないミスマッチ。

男性よりも女性の方が相手選びの好みがうるさく、基本的に社会的な条件や本人の性格、素質などの数多くの要素を考慮する。
また、男性が女性に求めることは、女性の若さと外見。

ウエスト:ヒップが0.7前後は、受胎能力が高い。
「フリッシュ効果」:「女性は体脂肪率が一定以上を越えないと排卵が起きない」

女性が魅力的だと感じる男性の顔:大きい目と小さい鼻、顔の下半分ががっちりとしていて、顎が発達している。(成熟した顔)
男性が魅力的だと感じる女性の顔:大きな瞳、左右に離れた目、高い頬骨、小さい顎と上唇、大きい口。(若い顔)
また、柔らかくてつやのある髪や、輝くようななめらかな肌は、若さと生殖能力の記であるエストロゲンの濃度と関係している。

自分のいる状況に応じて、相手へのハードルは下げる。
年をとったり、時間が無くなったりすると、(結婚)相手への要求は少なくなる。
子供のいる女性の再婚率はそうでない女性と比べて17%低い。また、相手に要求するものも半分程度になる。

どんなに高望みをする人も、結局は似た者同士でくっつくことになる。

社会が変わって、医療が改善されたことで、お金はそれほど必須ではなくなった。
そのため、女性が異性に求める条件は権力や富から、社会性(家事を手伝ってくれるかどうかなど)に変わってきている。

 

8章:エスキモーのリスク

キスという行為をするのは人間だけ。他の類人猿はしない。

キスによって赤ちゃん返り(母親のおっぱいを吸っていた時の愛情を思い出す)を狙っているという説や、口移しで食べ物を与えることがキスの根源だという説があるが、キスしなくてもおっぱいをそのまま吸えばいいし、口で食べ物を与える必要性が人間にはない。

人間はキスで相手の遺伝子構成を把握している。
ヒトは自分にはないMHCをもっている人を伴侶に選ぶ傾向がある。その理由は子孫の免疫を強化するため。
自分にはないMHCをもっているかどうかを判断する基準は以下の2つ
1.匂い(体臭はMHCとかかわりがある。分泌物やバクテリアによって体臭は変化する)
2.唾液に含まれている主要尿たんぱく(MUP)で識別する。
(MUPは個体識別に深くかかわっている)

エスキモーはあいさつでお互いのにおいをかいでいるし、においは現在でも大きな役割を果たしている。
テストステロン(ステロイドの一種の男性ホルモン)に近いにおいをトイレにまくと、男性はその匂いがあるトイレを避けるにも関わらず、女性はその匂いのするトイレに行列を作る。
また、女性の上唇にテストステロンに近いにおいをつけてもらって、お見合いパーティーに参加してもらうと、女性は目の前の男性に高い評価をつける確率がグンと高くなった。

一夜限りの相手を狙うなら、男性はヒーローっぽいチャレンジャーをアピールすべき。
逆に長期的なパートナーを選びたいのであれば、他者のために奉仕するような姿をアピールすべき。

男性(特に社会的身分が低い男性)は見ず知らずの若い女を救ってヒーローになり、女性は血縁関係にある子どもを救うために自らの命をささげる。

リスクを恐れない男性はモテるし、子供も明らかに多く作っている。

 

9章:ずるいあなた

イギリスでは結婚したカップルの1/3以上、アメリカでは半数が分かれる。また、生まれてくる子供の15%は戸籍上の父親と血がつながっていない。子育てに参加してくれさえすれば、相手は何でもよい。

単婚のジレンマ:決まったパートナーとの関係を続ける限り、ただ乗りされるリスクが常に背中合わせにある。(他のオスの子供を自分が育てること)かといってあたらしいメスに走ると、母親だけではわが子を育てられないかもしれない、これが単婚のジレンマ。

新しいメスとも交尾できるし、なおかつよそのオスの子を育てずに済むような「反寝取られ戦略」をオスはとることが多い。

イギリス人の妊婦の10~13%が、パートナー以外の男性との性交渉によるものだという推測。

また、女性の素顔を隠したり、隔離したりする伝統は数多くの地域でみられる。

メスが浮気をするメリット
・自分に資源を投資してくれるオスと一緒にいる
・優秀な遺伝子を持っているオスの子供を持つ
の二つの側面を満たすことができる。

単婚や多婚、離婚のパターンについては種によって、種の中でも様々である。そして、感興や集団の状況によっても変わってくる。どんな動物でも今置かれている環境の中で成果を最大化しようと行動を微調整する。

メスにはオキシトシンがよく働くが、オスにはオキシトシンがあまり働かず、代わりにパソプレシンが働く。

パソプレシン受容体に関わる遺伝子領域の中でも、
RS3という遺伝子領域の対立遺伝子334の数によって、パートナーへの愛着度が変わる。
対立遺伝子334を一つか二つ持っていると、パートナーへの愛着度は低くなる。数が多いほど愛着は低くなる。
対立遺伝子334をダブルで持つ人は男性の4%、シングルで持つ人は男性の36%。つまり、残りの2/3 は単婚に適している。

対立遺伝子334を持つ男性は、脅威に対して攻撃的な姿勢を見せる。
つまり、欲求不満が少し高まっただけでも、自制心を失い、考えなしに行動してしまう。

 

10章:進化の痕跡

ビタミンDの生成には太陽光だけでなく、カルシウムも関わっている。
だからこそ、太陽光を浴びることが少なかった白人はミルクを代謝できるラクターゼを大人になっても持ち続ける。
また、家畜のミルクが貴重な食料となるサハラ砂漠の南に住む遊牧民もミルクを代謝できる。

ヒトの胎児は本来ならば21か月の間お腹の中にいなければならないが、二足歩行の脳の大きさによって、9か月で生まれるようになった。ヒトの乳児は生まれて1か月は肉と骨の塊でしかなく、その間にとてつもない成長を見せるのだが、それ以上に親からの保護が必要。

ヒトの赤ん坊が魅力的で、どれも同じような顔をしているのは、父親の息子でなかった場合でも、面倒を見てもらうため。(瞳の色が変わるのも、大人になってから。)
また、多くの人々が、新生児が父親に似ていることを強調するのも、父親に子育てを頑張ってもらうため(もしくは幼児殺しをさけるため)

胎児の体は初期設定が女モードになっており、性染色体がXYの胎児が初期設定から男モードに切り替わるためには、早い段階である種の脂肪細胞が増殖し、その脂肪細胞から大量のテストステロンが分泌されなければならない。

鳥、両生類、ちょうなどは哺乳類と逆で、卵を産むのはXYの方。また、カメは生まれる時の周囲の温度によって性別が決まったり、
社会的な状況でオスとメスが変わったりすることもある。

 

11章:進化の邪魔をする奴はどいつだ?

1940年以降に発生した新病の数は、10年ごとに3~4倍に増えている。
これらの新病の52%はバクテリア起源のもので、従来の病気が薬剤耐性をつけて登場した例が多い。
また、60%は人畜共通病原体によるもので、さらにその70%は野生生物に由来する。

熱帯の言語密度はとても高く、言語共同体の規模が小さい理由は、病原体が多く存在するので、外界との接触を避けてきたから。

また、寄生生物の負荷量が多い地域(主に熱帯)は、そうでない地域(高緯度地域)と比べて信仰心が強い。

妊娠でつわり(特定の食べ物を受け付けなくなったり、嘔吐を繰り返したりする)を体験する女性は、5人中4人だと言われる。
そして、妊娠14週までにつわりを体験した妊婦は、流産の可能性が明らかに低く、健康的な胎児が生まれる確率も明らかに高い。
その理由は?
・催奇形性物質(コーヒーやアルコールなどの胎児に奇形をもたらす可能性のある食品)を避けることができる
・食べ物と一緒に取り込んだ有害細菌を体外に排出する作用の可能性もある(特に肉、乳製品などには細菌が含まれる可能性が多い)
(ただし、スパイスはつわりを助長しない)

わが子を産んでその世話をしたいという欲求は、遺伝子によって深く植え付けられている。
(ヒトの胎児は未熟な状態で生まれてくるから)

人間は社会性を極限まで高めているので、子供が十分に成熟したとしても、わが子をなるべく社会に有利になるような形で送り出すことも、遺伝子の生存のためには重要。社会に出る前に十分な社会性を身につけさせ、社会に出た後も経済的な支援をしたり、成功するチャンスを与えたり、結婚式を盛大に祝ったりする。そして、孫が生まれれば、また1から努力をするようになる。親の子育ての苦労は40年は続くといっても過言ではない。

医学の進歩の結果、多くの子供を救うことができるようになったが、果たしてそれは本当に利益をもたらすのだろうか?
無言の圧力に屈して重度の障害を抱えた赤ん坊を救った結果、聖人君子でも負いきれないほどの負荷が何十年にもわたって家族にのしかかる。障害児を持った家庭は離婚率が高く、障害児自身が心身の虐待を受けたり、場合によっては死に追いやられることもある。

どんな場合でも、新しい生命を作り出し、その生命を育てていくことはリスク。
「できることはやるべきだ」という主張は、果たして論理的に正しいのだろうか?
医学は人間の子育てをしたい、遺伝子を残したい、という欲求に素直な言いなりになっていいのか?
進化の歴史を振り返って、自然淘汰されてきたヒトを考えると、多くの場合答えは「ノー」になる。

中国の一人っ子政策は人口爆発を抑えることには成功した。
だが、多くの夫婦が男児を好んだために、多くの夫婦は女児だとわかると妊娠中絶を選んだ。
結果として中国の100大都市では、女性100人に対して男性125人という比率になっている。
(新生児(新生児であることに注意)の正常な男女比は女児100人に対して、男児108人)
2020年には男女の数の差が広がって、2700万人男性が多くなる計算になる。

アメリカ本土集を対象とした研究で、離婚率とレイプ発生率の間には明らかな強い相関関係があることが分かった。
離婚後にパートナーを見つけることができないからだとされている。
また、イギリスでの調査では、青年犯罪の累犯可能性を予防するもっとも確実な指標は、刑期を終えた後に長期的なパートナーを得たかどうか、ということが報告されている。
つまり、彼女のいない男子は社会の脅威。
また、600年前のポルトガルでも似たような現象が起こっていた。

 

12章:さよなら、いとこたち

大規模な絶滅は6500万年ごとに起きており、70~80%が絶滅する。

ここ2000年で人類が爆発的に増えたことによって、類人猿を含めた数多くの種が絶滅する計算。

フランキンセンス=乳香

マンモスが絶滅した理由は、氷河期の終わりごろにツンドラ地帯に入ってきた人類によって狩りつくされたから、というものが一般的。
だが、最近は気候の温暖化による食物の減少、というものが理由として浮上している。

マンモスの生息数が一番多かった4万~2万年まえにマンモスを死滅させるためには、18か月ごとに人口一人当たり1頭以上を狩らなければならなかった。そして6000年前には200年ごとに一人当たり1頭以上を狩れば、マンモスは絶滅した。

マンモスは個体数が多かったころは人間による狩猟圧を吸収できたが、気候変動によって数が減ると狩猟圧が吸収できなくなった。つまり、狩猟圧がどれほど小さくても、それで種が絶滅に追いやられる可能性があるということ。

言語も同じく消えつつある。

言語は民族の知識の倉庫であり、医学的に重要な情報も含まれている。
アスピリンとマラリアの特効薬キニーネは、南アメリカのインディオから得た知識をもとにつくられた。
言語は異文化への扉でもあるし、重要な研究対象でもある。

新発見の数を10年ごとに区切って考えると、ここ100年で新発見の数はへる一方。(数は減っても変化を起こす度合いは増えている???)

一番の問題は毎年人間の数が増え続けていること。

 

13章:こんなに近くてこんなに遠い

ヒトの祖先が類人猿から枝分かれしたのは約600万年前。

全て現生人類の血糖をさかのぼると、約20万年前にアフリカにいた5000人の女性に行きつく。

人類は600万年の歴史の中で、最高で6種類の人類が同時に共存していた。
ヨーロッパで最後のネアンデルタール人が絶滅したのは2万8000年前のこと。
最後のホモ・エレクトスは6万年より少しあとで中国で絶滅した。
また、インドネシアのフローレス島ではホモ・エレクトスの子孫にあたる「ホモ・フロレシエンシス」という小型の原人が1万2000年前まで生きていた。

約5万年前に高度な道具が突如として発達し、洞窟絵画なども作成された。
そして3万年前には芸術の爆発が起こる。ヴィーナス像などの、装飾だけが目的の人工物が作られるようになった。
2万年ほど前には埋葬形式、音楽、来世の概念が生まれてきた。

「芸術家気質の発露は、じゃるかな時間を越えて私たちに直接語り掛けてくる。彼らはもはや私たちと何ら変わらない。私たちが美しいと思うものは、彼らも美しいと感じただろう。その感動の一瞬に、人間を人間たらしめる本質が封じ込まれている。ついに人間は人間らしさを獲得したのだ。」

 

14章:ダーウィン戦争

突然変異は確かに偶然だが、その変異を選別して、それを一つにまとめるプロセスは偶然ではない。

類人猿と共通の祖先から進化してきたことになぜ多くの人々は反対するのか?

知識は力であるが、知識自体を抑圧することの方がもっと危険。
科学を支配下に置こうとして悲惨な結果を招き、国の発展が挫折した例は数多く存在する。

・1917年にはロシアの遺伝学は欧米よりも10年は進んでいた。が、マルクス主義者たちは遺伝学に対して懐疑的であった(進化の発生論は、教育と経済で社会を変革する可能性を損なうものだとされた)ため、遺伝学の教授は離職に追いやられ、ロシアの生物学はトロフィム・ルイセンコにゆだねられた。しかし、ルイセンコは植物を新しい環境に適応させるためにはストレスを与え続けるしかないと考えていたため、ロシアでは大凶作が起こり、農民は飢餓に直面した。

・ヨーロッパ各地が暗黒時代でくすぶっていたころ、科学が豊かに発達し、栄えていたのはスペインのアンデルシアからイランまで広く広がるイスラム帝国各地の年だった。イスラムの学者たちは古代ギリシアの哲学者の著作を残し、現代科学の基礎を築いた。代数学を発明したり、錬金術によって近代科学の基礎が築かれた。しかし、14世紀にはいると、イスラム原理主義者たちが、新しい知識の発見は全知の神を損ねるものだとして為政者に哲学と科学を弾圧させた。

祖先の歴史を深いところにしまい込むのではなく、より深く掘りさげ、祝福するために科学に協力してほしい、という働きかけを怠らなければ、すべての関係者が納得できる成果を得ることができるし、進化論をより大きな視点で理解することにもつながる。

 

15章:人間ならではの心って?

人が知性を持ち、文化を持つことができた理由の一つに「省察する能力」があることが挙げられる。
省察とは自分の心を省みることであり、他人の感情や信念に考えを巡らせることである。

志向姿勢(intentional stance):他者にはそれぞれ独自の心があり、それがこちらの精神の中身にも反映されるという認識のこと
志向意識水準(intentionality):相手の心の中身を推察する能力
1次志向意識水準:自分の心を了解している。自分の存在を意識している
2次志向意識水準:他者の心のうちに意識を向ける
ヒトは5次志向意識水準まで可能。
次志向意識水準は前頭葉の発達と関連している。

科学の世界では二分説(ある理論と、それに対立する理論が同時に存在すること『光は粒子?それとも波?』)が多く対立する。
そして二分説はどれもこれも最終的にどちらも正しい、と一つに収束する。
遺伝か環境か、という議論も最終的には生物において遺伝と環境どちらも影響を与え、その影響ははっきりと区別できるようなものではない、という結論に至る。

ヒトの脳は連続性を把握して扱うことが苦手で、異なる次元でいくつもの変数が相互に作用するときはなおさら苦手になる。
そのため、どちらか両極端、という2分説に走りやすい。一方を考えれば、もう一方を考えずに済むから。
が、科学の中身は複雑であり、単純な2分説では歯が立たない。知識の広がりは2分説以外の、人間の限界を超えたところにある。

 

16章:カルチャークラブに入るには?

人間は自身の文化を守り、特異性を主張したがるが、そもそも文化とは何か?
文化の定義は主に以下の3種類

・文化は人間の頭脳が生み出した発想である(社会規範、信念など)
・文化は人間の頭脳が生み出した制作物である(道具、陶器、衣服など)
・文化は言語とその産物である

人間の行動は本当に人間だけのものなのか?

人間と動物では文化の伝播メカニズムが異なる。
動物が文化を学習する方法は人間とは異なる。
動物は偶然成り行きで自身の行動を新しく変化させることができるが、ヒトは過去に誰かが達成したことを土台にして、新しいことを切り開いていくことができる。
アイザックニュートンは科学が進化するためには「巨人の肩の上に乗る」必要があると述べたが、ヒトが文化を形成するときも、まさしく同じことを行っている。これまで存在したものを土台にして、新しい発想を持つことができる。

また、言語はヒト特有のものだと考えられてるが、動物の発声には多くの意味が込められている。
(チンパンジーに言語を教えるという試みは成果を上げている)

高次元の文化(宗教、科学、文学)などを生み出すためには、自分の殻から出て、客観的に物事を分析する必要がある。
そして「何が起こったのか?」を理解するだけでなく「なぜそうなったのか?」を理解する必要も出てくる。
やはり人間の文化を支えているのは「心の論理」

フィクションの世界を構築する能力は人間にしかないと断言できる。動物には想像の世界だけの物語を理解できない。

シェイクスピアの六次志向意識水準:劇中で5次の志向意識水準を表現したうえで、「この劇を見る観客はどう感じるだろうか?」という計算が6次目の志向意識水準。

シェイクスピアは観客に5次の志向意識水準を納得させたうえで、物語を進行させるという6次の志向意識水準を持っていたからこそ、偉大な劇作家として歴史に名を残している。

文学作品や物語では登場人物が何人も登場する。そんなことができるのは人間だけ。

 

17章:脳にモラルはあるのか?

オタ・ベンガ:アフリカのピグミーの男性。1906年にニューヨークのブロンクス動物園でゴリラの檻の隣に展示された。自由の身になった後、二年で自殺。

全ての人に等しい権利を認めよう、という近代的な発想は、人間はみな同じ「種類」だという信念を反映している。
特に道徳性をヒトは共有している。

近年の神経心理学では、「道徳性は感情に左右される」ということが分かっている。被験者をトイレや乱雑な机のそばに座らせた場合と、もっと快適な環境に座らせた場合は、最初のグループの方が他者の行動を評価する基準が厳しくなった。

トロッコ問題で、運転手の場合と橋の上にいる場合で回答が異なる理由は、「副次的な偶然性(アクシデント)」と「直接的な意図性」の微妙な違いによるもの。意図の存在が大きな違いを生む。

脳卒中で前頭葉を損傷した人は橋の上から男を落とすことを選択する。功利主義に基づいた合理的な選択をする。
その理由は、前頭葉は意図的な行動の評価を行う場所であるから。

トロッコ問題のような道徳的ジレンマに直面した人は、意図性の評価に関わる脳の領域が活発になっている。

道徳的な判断と、功利主義に基づく合理的な判断は脳の別の部位で行われていて、同時に動くことはあり得ない。これがジレンマ。

ただし、道徳性が感情や共感によるものだとすれば、必要なのはせいぜい二次の志向意識水準まで。
だが、そうなれば道徳性は個人の感情にそった、あいまいで不確かなものになってしまう。

感情以外で、もっと確固たる道徳性が欲しいのならば、もっと高い次元、2次の志向意識水準以上の次元での正当化が必要。
民事法などの法律、絶対不変の哲学的真理や神による宗教的なしがらみは、集団の道徳性を確固たるものにする優れたメカニズム。
そしてそのようなメカニズム、特に信仰は「自分の思いを理解してくれ、くみ上げてくれる存在がいる」と信じなければならず、最低でも4次の志向意識水準が必要である。さらに、すべてをまとめ上げる5次の志向意識水準を持つものが求められる。

つまり、宗教や道徳的体系は、人間が生まれながらにして対応できる最高時の志向意識水準の場所で活躍している。

サル、ゴリラ、チンパンジーが到達した志向意識水準の高さは、前頭葉の発達度合いと明らかに比例している。

ヒトの新皮質が他の霊長類と比べてとりわけ進化したのは、他の霊長類よりもずっと大きな集団で生活する必要があったから。
もともとは周囲の情報を手に入れて、生存のために有利になるように仕向けるだけであった新皮質の能力が、ある一定の度合いを越えたところで、自分の内面にも向けられるようになった(「心の理論」)
そして、感情やそれ以上の志向意識水準を必要とするものによる道徳観が形成され(宗教など)た。

ヒトは皆平等であると信じる人が多いのは、志向意識水準などを理解する共感能力や言語能力などの、各種知能を全員が同じように持っているから。

人間を人間たら占める能力は、何度も言っているが「心の論理」にたどり着く。
心の理論は人間らしさを構成するすべての物の入り口で、文学作品が生まれるのも、宗教があるのも、すべて心の理論のおかげ。
(ただし、自閉症患者は心の理論を持っていないとされる。幼児も心の理論を持っていない。)

とにかく、道徳感覚を得るために必要な2次以上の志向意識水準を持っているのはヒトでだけである、ということ。

 

18章:進化が神を発見した

宗教も進化の産物であり、とくに宗教などの信仰が絡んでいる時は、ヒトは自尊心があるにも関わらず、善と悪両方に追従したり、自分を押し殺してコミュニティの意識を尊重したりする。

奇跡や、奇跡を起こす存在に対しては、世俗の超越と等身大の人間らしさの両方を求める。

宗教は進化の点から見れば自身の生存に寄与しておらず、逆に害悪を与えていると考えられる。
そして、一部の進化心理学者は宗教は適応度を最大化するために発達した認知能力の副産物であり、それ自体に利益はない、と考える。

しかし、宗教に人間が多くの時間をささげてきたことは確かなので、単なる副産物ではなく、何らかのメリットがあったと考えるのが妥当。

生殖や生存において、ヒトが直面する問題は個人の能力だけでは解決することができず、社会との関わり合いが解決に必要だと考えられる。
個人の利益の一部は、集団レベルの機能を通じてもたらされることがある、ということ。

宗教の利益は以下の4つ

・主教は霊的世界などを媒介しつつ、私たちが正確に理解してコントロールできるような形で世界を体系的に説明してくれる、一種の科学。
・宗教は人生を過ごしやすくしてくれる。運命に流されても諦めることができるなど。「人民のアヘン」説
・宗教は一種の道徳的規範を提供し、執行することで社会の秩序を保つ。
・宗教は共同体への参加意識や仲間意識をもたらす。

積極的に宗教を信じている人は、無宗教の人よりも満足度が高く、長生きで、心身の病気にかかりにくく、病気にかかったとしても回復が早いことはすでに多くの研究で示されている。信じる者は救われる。

そして宗教の最大のメリットは「共同体への参加意識や仲間意識をもたらす」こと。
宗教は社会を一つにまとめる接着剤のようなもので、そのような接着剤の役割を果たすことができるのは、一種の儀式を通じてエンドルフィンを分泌させるから。エンドルフィンが積極的に分泌されるのは、そこそこの痛みが慢性的に続いている時であり、儀式では踊って体を動かしたり、ひざまずいたりなどをして身体にストレスをかけることが多い。また、エンドルフィンは免疫力を高める。

宗教以外でもエンドルフィンは分泌される(運動をしても分泌される)が、集団行動をしている時に分泌されるエンドルフィンは、その効力が数倍になる。そして、集団を構成している構成員に対しては強い愛着感情が湧く。それが兄弟愛とか、帰属意識とか、共同体意識になる。

霊長類の社会集団は暗黙の了解で成り立っており、個人の欲を我慢して、集団の恩恵を受けようとする。
ただ、チャンスがあれば恩恵だけを受け取りたい、というのがヒトの発想なので、それに対抗するしっかりとしたメカニズムが必要になる。

そのメカニズムとして、団結力を高めるために特に有効なのは「音楽」「笑い」「宗教」だと考えられる。
集団で宗教行為を行うことで、仲間への善意と愛を強め、ただ乗りをしようと思うものはいなくなる、という発想。結果として集団全体の力は強くなり、個人が受ける恩恵も強くなる。

宗教は儀式と信仰体系という2つの柱で成り立っている。
儀式は参加者がそろわなければ意味が無く、信仰体系によって定期的にそろうための決まりを作る。

個人レベルの信仰は三次の志向意識水準であり、「神は私たちに正しくあれと望んでいる」、という表現になる。
そして、誰かに信仰を広める時には、「神は私たちに正しくあれと望んでおられるのですよ」と語り掛ける4次の志向意識水準になる。
さらに5次の志向意識水準では「神は私たちに正しくあれと望んでおられることを、私たちは承知しているのです」となり、それが信仰を共有するということ。

高次の志向意識水準を持つためにはかなりの知性が必要であったことは確かだし、志向意識水準の発達にはやはり何らかの意味があるはず。

進化によって単純だったプロセスが、宗教などの人間ならではの認知や行動へと発展していった。

 

19章:頭を使って長生きしよう

積み上げてきた知識や経験を基にして、問題を徹底的に追求してきたからこそ、人類は発達した。

IQの高さと寿命の間には相関関係があり、かつては社会的はく奪や教育機会の不足などの間接的な要因によるものだとされていた。
しかし、1932年にスコットランドで行われた一斉知能テストを分析したところ、社会階層や社会的はく奪のレベルを統計的に処理すると、11歳時点でのIQが1ポイント下がるごとに、77歳までに死ぬ確率が1%高くなることが分かった。
(IQの平均値は100であり、85~115の数値に2/3の人が収まる)

IQは発達段階初期の指標であり、体の全てのシステムが出来上がり、効率よく機能しているかどうかを測る物差しがIQなのではないか、と考えられる。(胎児期の成長の仕方が、成人してから心臓疾患にかかる危険性などを左右することは知られている)

IQと体の対称性には、小さいが無視できない相関関係がある。

身長が高い人ほど社会的、経済的に成功する。
また、既婚者で子供をもつ確率も、身長が高い人ほど高くなる。

IQが1ポイント高くなる音に、年収は234~616ドル増える。

身体の対称性は精子の数および運動性と相関関係にあることが分かっている。

つまり、IQが高い人は美しく(対称性が高く)、年収は高く、子孫を残す確率も高い。

ひとかどのことを成し遂げる人物はメガネ、肥満のがり勉タイプではなく、スポーツ万能で勉学優秀、社交性が高いというオールラウンダーであることが多い。

天才には逸話が多いが、それは全てうそ。
天才は総じて例外なく、陰ですさまじい努力をしている。

心身の消耗が引き起こす苦痛やストレスを和らげることができる。
そして、生まれつきエンドルフィンが多く分泌される人は、努力をする代償の身体的、精神的な苦痛を軽々と乗り越えることができる。
また、運動でもエンドルフィンは放出される。

知能だけでは不十分で、知識も必要。
知識があるからこそ、巨人の肩の上に乗ることができる。特に科学的な知識は過去からの積み上げに他ならない。

教育は精神を鍛え、探求心を掻き立ててくれるものであるべき。

その分野の専門的な知識を詰め込むことだけが教育ではない。以下に考え、評価するか、証拠や反証をどう扱うか、先入観や偏見にとらわれることなく客観的に問題をとらえるためにはどうすればよいのか、などの訓練こそが教育。知識を掘り下げることの面白さを教えてあげるものが教育。

 

20章:美しい化学

科学軽視派の多くは高学歴で専門職に就いており、「科学は非文化的で、きめ細やかな感性にかけている」と考える。

が、文学や芸術の分野で偉大な成果を残している科学者は多い。

人間の文化は鋭い観察眼と深い内省の二つによって支えられており、この二つの高さの違いが、優秀な科学者とそうでない科学者を区別する

科学の進歩は異なる出来事や物事を新しい方法で結びつけることからは始まる。つまり、知識とそれを記憶する記憶力がなければどうにもならない。

記憶力の発達には幼いころの丸暗記が関係しているのかもしれない。
学校教育をもっと面白くすることも良いが、ラテン語の丸暗記などの古臭いやり方が存在していた理由を考えるべきである。

 

解説

ロビン・ダンバーは「進化生物学」「人類学」「認知心理学」の重なり合う分野で活躍をしている。

解説の要旨のまとまり具合半端じゃないな。さすが編集者。

 

 

本の内容を理解するための質問事項

1.本の問題提起、問題意識はなに?

ヒトはなぜ複雑な脳を発達させてきたのか?

男女の性行動の違いはなぜ生まれているのか?

なぜ人は、音楽、言語、芸術、宗教などをもつようになったのか?

2.この本はどのように始まり、どのように終わったか?

始まり:人間の男女の違いについて(色覚や脳の大きさと一夫一妻制の関係など)

終わり:鋭い観察眼と内省する力の高さがあるからこそ、ヒトは進歩してきた。

3.自分がこの本をまとめるとしたら「一行で」どうまとまる?

宗教、言語、芸術などの人に特徴的な行動は全て他者の心を認識する「心の理論」から生まれた。

4.この本のキーポイントやキーコンセプトは何?

キーコンセプト:進化は突然で偶然であるが、それが収束して選別される過程には一定の法則がある。

キーポイント:志向意識水準の高さと人間固有の行動様式の関係

5.この本のチャート、グラフ、図から何を学べる?

図はないです。

6.この本が他の本と似ているものは何?

進化は完璧ではない、としている点。

(迷惑な進化~病気の遺伝子はどこから来たのか~(1)と共通)

7.この本を読んでいる時にどんな感覚を感じたか?

人間が5000人ほどの一握りの人類集団から進化してきた。

その事実を考えると、

他の類人猿はなぜ絶滅したのか?

なぜホモサピエンスだけが自然淘汰を生き残ることができたのか?

これから先ホモサピエンスは自然淘汰にどのように対応するのか?

などの疑問がわいてきた。

本を読んでいて、人類の過去の奇跡の連続や、人類がここまでの発達をした理由について、もっと知りたいと思うようになり、本の中にその答えを見つけることができたので、読んでいて面白かった。

8.なぜこの本は重要なのか

ヒトの進化やその過程について、人類学的な視点で解説されている。

過去存在していた同じヒト科の人類集団などについても詳しく書かれており、特にホモサピエンスの言語の発達や言語の伝播様式についてはかなり専門的に書かれている。

言語も「自分たち」を認識するための文化の一つであり、言語集団が閉鎖的な社会集団を形成していることもあるので、進化的な立場で考える時は、言語の分布についても考慮すべきなのだろう。

9.作者が一番伝えたいことは何?

人間の文化は鋭い観察眼と深い内省の二つによって支えられており、人間はこれまで積み上げてきた知識や経験を活かして、問題を徹底的に追及する探求心を持っていたからこそ、ここまでの繁栄を遂げた。

問題を徹底的に探究する意識や、過去の知識の上に新しい解決策を見つけることができる、という意識を忘れてはいけない。

10.この本のタイトルはこれでいい?自分でタイトルをつけるとしたら?

言語や宗教や芸術はなぜ生まれた?ダンバー数から読み解く、人とつながりの進化心理学

11.この章には何が書かれている?ーおすすめの章を友人に勧めるような感じで

19章は人の世界の格差について書かれている。

IQが高い人は身体の対称性が高いために美しく、収入が高く、子孫を多く残すことができるので、性淘汰を生き残ることが容易。

この世界はとてつもなく不平等だということが、きっと実感できるはず。

12.前書きはこの本を面白くするために役に立ったか?

前書きはない

13.作者はこの本をおもしろくするために、どのような工夫をしていたか?

節のはじめでは分かりやすい例えを使っていた。

14.作者は章や節の書き出しでそのような工夫をしていたか?

同上

15.この本のどこに一番共感できるか?

人間はこれまで積み上げてきた知識や経験を活かして、問題を徹底的に追及する探求心を持っていたからこそ、ここまでの繁栄を遂げた。

16.この本は良い終わり方をしたか?

学校教育が子供たちに知識を深堀する面白さを教えていない点を指摘したり、丸暗記という学習制度の重要性について筆者の経験を語って、この本は終わった。

この本は筆者の連載記事をまとめたものなので、話の流れに少し整合性が無いように感じたし、もっと良い終わり方ができたと思う。

17.この本の中で登場した例で、印象的なものは?

シェイクスピアの6次の志向意識水準

シェイクスピアがここまで優れた劇作家として名をはせているのは、劇中で5次の志向意識水準までを描き、そしてその5次の志向意識水準を観客に上手く伝えるためにはどうすればよいのか、という6次の志向意識水準を考えていたからである、という意見。

高次元の文化(宗教、科学、文学)などを生み出すためには、自分の殻から出て、客観的に物事を分析する必要がある。

物語やフィクションは人間特有のものであり、それらは志向意識水準という他者の心を認識して理解する「心の理論」によってもたらされていることを示す良い例。

18.この本の特徴的な点、変わっている点はどこか

男女の性行動の違いについて、人だけがキスをする理由であったり、彼女のいない男子は世間の害であることを述べたり、結構憶することなく切り込んでいく姿勢

19.この本の中で一文だけ重要な文を抜き出すとしたら?

知識は力であるが、知識自体を抑圧することの方がもっと危険。
科学を支配下に置こうとして悲惨な結果を招き、国の発展が挫折した例は数多く存在する。

20.この本の中でのキャッチコピーは何?

繋がりの進化心理学

21.この本の中で一番印象ぶかかったことは何?

言語は一種の毛づくろい。

キスという行為をするのは人間だけ。他の類人猿はしない。

キスによって赤ちゃん返り(母親のおっぱいを吸っていた時の愛情を思い出す)を狙っているという説や、口移しで食べ物を与えることがキスの根源だという説があるが、キスしなくてもおっぱいをそのまま吸えばいいし、口で食べ物を与える必要性が人間にはない。

人間はキスで相手の遺伝子構成を把握している。
ヒトは自分にはないMHCをもっている人を伴侶に選ぶ傾向がある。その理由は子孫の免疫を強化するため。
自分にはないMHCをもっているかどうかを判断する基準は以下の2つ
1.匂い(体臭はMHCとかかわりがある。分泌物やバクテリアによって体臭は変化する)
2.唾液に含まれている主要尿たんぱく(MUP)で識別する。
(MUPは個体識別に深くかかわっている)

22.なぜ自分にとって、この本を読むことが重要なのか?

進化的なアプローチを考えるためには、広範な知識が必要だと思った。

特に人間の行動心理を理解することは、きっと進化的なアプローチからの仮説を形成するために役立つはず。

作者のロビン・ダンバーは進化心理学の分野で「ダンパー数」など新しい言葉を作り出した存在。

作者は何を思って人間心理について研究しているのか?
ーきっと進化という人間の過去の知識を踏襲して、なにかしらの新しいことを創造しようとしている。

そして、作者はどのような視点を持って研究にあたっているのか?
ー知識によって巨人の肩の上に乗ることができることを忘れない。そして、常に探求する心や内省する心を忘れない。

進化の立場から研究する進化医学の研究者に共通する考え方はあるのか?
ー進化は偶然で突然だが、進化によって形成された生物が選択され、一つに踏襲されていく過程には一種の法則が存在する。

自分の研究のモチベーションを上げるために、この本は使えるかもしれない

23.自分がどこでつまずきやすいか?何が分からないからこの本を読むのか?

進化医学は基礎研究に使えるのかどうか、臨床研究に使えるのかどうか、
ー進化的なアプローチは遺伝子研究で使えるし、臨床研究でも進化精神医学(2)などの可能性があがあがある。

実際に進化医学を研究するときは、どのような立場で、どこで考えればよいのか?
ー進化的な発想を持っていれば何でもよい。

人間心理の研究は進化的な発想を持つために役立つのか?
ー役立つ。外部との接触を避けてきた人間が、外部との接触を強制されたときに、どのような反応を見せるのか、を考えると、病気の拡散についても考えることができるのではないか?

24.本から学びたいと思うことを3つ以上書き出す(具体的、目次見てもいい)

「浮気好きな種の脳は小さい」とは?何を意味している?

逆に一夫一妻制での生物は、パートナーとなる生物の選択や、パートナーの行動に合わせて自分も行動を変える必要性があるので、高度な脳をもっているということを意味する。

女性の視覚は男性の視覚よりもカラフルである理由は?

錐体細胞には3種類存在する。赤・青・緑の三原色。

赤・緑の錐体細胞を構成するための遺伝子はX染色体上にあり、青色錐体細胞の遺伝子は第7染色体上に存在する。

XXである人の女性は、赤や緑の錐体細胞を構成する遺伝子に多型が存在する確率が高いから。

ダンバー数とは?-ダンバー数はどのように発見された?

150人程度の、一人の人間が構築することのできる人間関係の限界値。

様々な人類集団を分析して、社会的なネットワークが3の倍数で構成されていくことなどを突き止めた。そしてその限界値が150人であることも突き止めた。

親族からの援助があったほうが健康である理由とは?

共同体意識の根幹には血縁という意識が存在している。

そのため、血縁による相互の結びつきの中にいると、強い安心感と満足感が得られるから。

言語と遺伝子はどのような関係がある?

言語と遺伝子の関係性はあまり触れられていなかったが、言語は人の遠隔毛づくろいであることや、専門的な言葉や方言などは、共同体の意識を加速させるものであることも示されていた。

また、熱帯では言語の密度が異様に高いが、その理由は自分たちだけの特異的な言語を持つことで、病原体を持っているかもしれない他の集団を排除するため。

親密さを生む要素は何なのか?

共同体意識があるかどうか。似たものを共有しているかどうか。

また、触れ合いや、共有される腹を抱えた笑い、音楽などもオキシトシンやエンドルフィンを分泌するため、「親密さ」を生み出すことができる

(エンドルフィンは仲間意識などの絆を深め、オキシトシンは信頼感を高める)

人が音楽を好きな理由とは?

音楽によってオキシトシンやエンドルフィンが分泌され、親密さや楽しさが増長されるから。また、集団行動で分泌されるオキシトシンやエンドルフィンの効果は通常の数倍だから。

夜に物語る効果とは?

物語る効果、というか物語ることは人間の特徴である、ということ。

女性の魅力の秘密とは?

ウエスト:ヒップが0.7前後は、受胎能力が高い。

女性が魅力的だと感じる男性の顔:大きい目と小さい鼻、顔の下半分ががっちりとしていて、顎が発達している。(成熟した顔)
男性が魅力的だと感じる女性の顔:大きな瞳、左右に離れた目、高い頬骨、小さい顎と上唇、大きい口。(若い顔)
また、柔らかくてつやのある髪や、輝くようななめらかな肌は、若さと生殖能力の記であるエストロゲンの濃度と関係している。

女の変化に気づいていない男たち?-なんの変化に気が付いていない?

現在の社会では、基本的な生活はほぼ保障されているので、女性が男性に求めるものがお金や権力をもっているかどうかよりも、自分に時間を割いてくれるかどうか、になっていること

現代女性が理想とする結婚相手の条件は3Cだと言われている(3)
・Comfortable:安定して十分な収入がある人
・Communicative:価値観やライフスタイルが一緒である人
・Cooperative:家事や育児に協力的で、進んでこなしてくれる人

キスの進化論的な効用とは?

自分とは異なる免疫(MHC)を持っているかどうかを区別する。

進化的な立場から、「持てる男はリスクを取る」理由はどのように説明できる?

リスクのある行動をとることができるのは、テストステロンを多く分泌している証だから。

一夜限りの相手を狙うなら、男性はヒーローっぽいチャレンジャーをアピールすべき。
逆に長期的なパートナーを選びたいのであれば、他者のために奉仕するような姿をアピールすべき。

男性(特に社会的身分が低い男性)は見ず知らずの若い女を救ってヒーローになり、女性は血縁関係にある子どもを救うために自らの命をささげる。

リスクを恐れない男性はモテるし、子供も明らかに多く作っている。

メスが浮気をして得な理由は?

1.自分と子供に時間を注いでくれる人による保護の確保

2.パートナーよりも優秀な遺伝子だけを取り込むことができる

愛の絆を深めにくい遺伝子とは?

RS3-334対立遺伝子。(オキシトシンと似たような効果を持つパソプレシンの受容体の遺伝子)

二つ以上持っていると、あらゆる脅威に対して攻撃的な対応をしてしまう。

ミルクとの愛憎関係とは?ーフロイトの性の発達説みたいな?

このミルクとの愛憎関係とは、普通の人は乳幼児以降は乳糖を分解する酵素をつくらなくなるということ。

ややこしい性別とは?ー男と女の性別の区別?

自然界には集団内の男女比で性別を変えたり、XYがメスだったりする。

言語の大消滅時代とは?

現在、多くの言語が消滅しつつある、ということ。

言語には多くの知識が含まれており(特に医学的な知識)、研究対象として有用

マンモス絶滅は気候変動ではないの?

マンモス絶滅は気候変動。どうやら一般的な説は「繁殖したヒトによって狩りつくされた」というもの。

進化戦争とは?-淘汰のこと?生物同士の共同・競争の進化のこと?

ダーウィンの進化論が是か否か、という論争。主にアメリカでの論争。

「心の理論」をなぜヒトは獲得したのか?

もともとは集団内での複雑な他者との関わり合いを円滑にするために知性を発達させてきたが、その知性が自分の内側にも向くようになった。これが心の論理の始まり。

文化を進化的に説明したらどうなる?

文化とは、人間が進化の過程で獲得した「心の論理」によって生み出されたものである。

高次元の文化とは?

宗教

シェイクスピアの6次志向意識水準とは?

シェイクスピアがここまで優れた劇作家として名をはせているのは、劇中で5次の志向意識水準までを描き、そしてその5次の志向意識水準を観客に上手く伝えるためにはどうすればよいのか、という6次の志向意識水準を考えていたからである、という意見。

高次元の文化(宗教、科学、文学)などを生み出すためには、自分の殻から出て、客観的に物事を分析する必要がある。

物語やフィクションは人間特有のものであり、それらは志向意識水準という他者の心を認識して理解する「心の理論」によってもたらされていることを示す良い例。

トロッコ問題を神経心理学で解く?

人が行動を判断する時にためらうのは、その行動が自分の意図的なものであるとき。副次的で自分の意図が介入しない出来事には、ヒトはあまり躊躇することなく合理的な判断を行う。

意図的な行動を判断する部位は前頭葉であり、道徳性を判断する部位は側頭葉に存在する。

そのため、どうしても道徳性と意図的な行動の間にはジレンマが生じる。

宗教の進化生物的な意味とは?

宗教の利益は以下の4つ
・主教は霊的世界などを媒介しつつ、私たちが正確に理解してコントロールできるような形で世界を体系的に説明してくれる、一種の科学。
・宗教は人生を過ごしやすくしてくれる。運命に流されても諦めることができるなど。「人民のアヘン」説
・宗教は一種の道徳的規範を提供し、執行することで社会の秩序を保つ。
・宗教は共同体への参加意識や仲間意識をもたらす。

そして、共同体への参加意識や仲間意識こそが、仲間内での戦略的欺きを防ぐことができるし、仲間割れを防ぐことができるし、集団の利益のために行動する動機が生まれる。

そして、集団が強化されることによって、個人が集団から受ける恩恵も最大化される。

なぜ世の中は不公平?

遺伝子が関係しているから。特に児童期(11歳ごろ)のIQは寿命の長さと関係する。

成功は成功から生まれる?

新たな知識は元ある知識から生まれる。

 

参考文献


友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学

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